Jeffrey

肉の蝋人形のJeffreyのレビュー・感想・評価

肉の蝋人形(1997年製作の映画)
3.0
「肉の蝋人形」

冒頭、夜に輝く美しいネオン風景。次の瞬間惨たらしい残虐な描写へ。複数の血塗られた死体、1人の少女の生き残り、12年後のローマ、黒装束に身を包んだ謎の人間。注射器、手袋。今、蝋人形の館で行われる戦慄が始まる…本作はセルジオ・スティヴァレッティが1997年に監督したホラー映画で、1933年のオリジナル版等含めて何作かタイトルがある。本作はダリオ・アルジェントの原案に加えて、ルチオ・フルチが脚本に携わったと言うホラー界の最強巨匠がバックスタッフに君臨すると言う作品である。


そして、"オペラ座の怪人"で知られるガストン・ルルーの小説を原作として、マウリツィオ・アベーニの音楽とセルジオ・サルヴァティの撮影がアートフィルムに仕上げていく。この度、久々にBDに再鑑賞したが映像が美しくて面白い…が、ジェームズキャメロンの作品のごとく信じられないオチには仰天する。それとルチオ・フルチの自殺かもしれない死の悲報は、この作品を見ると走馬灯のように彼の作品が頭の中に現れてくる。ユーロホラーファンとしてはかなりショックな出来事であった。



残念ながら当時ルチオ・フルチが、病気で亡くなってしまって、監督が務められなくなってしまった。また、イタリアホラー映画らしい要素がたんまりと入っていて、その点のファンには大いに気に入られているのではないだろうか。終盤はもはやターミネーターの如くすごいクリーチャーが出てくるし、もはやパロリーが入っているような感覚さえ覚える。



さて、物語はとある夜の出来事で始まる。とある部屋で数人の残虐死体が発見される。その凄惨な殺人現場を再現した蝋人形館で働くソニア。彼女は徐々にこの館と館主に隠された恐ろしい秘密があるのじゃないかと知ってしまう…と簡単に説明するとこんな感じで、蝋人形の不気味なビジュアルスタイルや、館の美術アート、ファッション、照明、色彩が非常に綺麗なカラーコントラストを生み出している。


蝋人形のシークエンスでは多少なりともCGを使っているようだが、メデューサの件などは少し笑ってしまう。だが、ラストの迫力ある場面はなかなか印象的に残る。
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