櫻イミト

コレヒドール戦記の櫻イミトのレビュー・感想・評価

コレヒドール戦記(1945年製作の映画)
2.5
終戦の1945年にジョン・フォードが監督した戦後復帰作。1941年のフィリピン戦を描いた戦争映画。原題は「They Were Expendable:それら(魚雷艇)は消耗品」。コレヒドール島は会話に出てくるだけなので邦題は不適切。

1941年、日本軍に圧倒され苦戦を続けるフィリピン戦線。米海軍の魚雷艇隊は戦いたくてうずうずしているが、移送と護衛の任をしぶしぶ務める。血の気の多い中尉(ジョン・ウエイン)は怪我で病院送りとされてモヤるが、出会った看護師と不器用な恋に落ちる。。。

フォード監督の軍隊賛歌。戦場でのつるみあう友情、ダンスパーティーと女性、一時的な敗北の哀愁。苦手なパターンで観続けるのが苦痛だった。なお、本作のラスト後に現地では”バターン死の行進”があった。日本軍の残虐を示す事件として「敵国日本を知れ」(1945)で紹介されている。

コレヒドールから撤退するマッカーサーを送るシーン。彼が姿を現すと「共和国賛歌」が鳴り響き、兵隊たちの羨望の眼差しが切り返される。昨日観た「意志の勝利」(1935)と同手法。

Wikipediaに本作への蓮實重彦の賛辞があった。ドナ・リードとジョン・ウエインのダンスシーンはフォードにおける「唯一にして最高の踊り」。三人の兵士が歌う”ディア・オールド・ガール”は「唯一にして最高の歌声」とのこと。個人的には同意できない。些末な論拠で大袈裟に賛辞する姿勢には権威主義を感じる。
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