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アンタッチャブルのKEiGOのネタバレレビュー・内容・結末

アンタッチャブル(1987年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

男たちの奔走。
演出の映画だと思いました。『アンタッチャブル』と言えば階段と乳母車。代名詞たる名シーンは『戦艦ポチョムキン』のオマージュだったんですねー[1]。大きなアクションをしているわけではないにも関わらず、これ程までの緊張感をもたらすことができるのはやはり演出の妙でしょう。1920年代シカゴのダーティな空気感が作品全体を覆っていたこともひと役買っていると思います。

ただひとつ解せなかったのは主人公エリオット・ネスがカポネの部下フランクを建物から突き落とし、自ら刑を執行すること。政府の人間として法律に則ってアル・カポネを裁くのを信条に動いていたネスを、最終的に私刑に走ってしまうように描いたことだけは疑問が残ります。実際にはエリオット・ネスはフランク・ニッティを屋上から投げ捨てることはなかったようです[2]。ということはこれは制作の過程で生まれたプロットと演出ということ。勧善懲悪なストーリーの方が大衆ウケがよいことは分かりますが、結果的に感情が法律を超えてしまう描写を選んだのは残念です。

多くの名優が出演する今作ですが、なんと言ってもショーン・コネリーの存在感が圧倒的でした。身体はくたびれているものの、心にまだ火が灯った老警官を非常に魅力的に演じていました。渋かったなぁ、こういう大人になりたいものです。対して主人公を演じたケビン・コスナーは一面的な芝居で勿体ない[3]と言われていてちょっと面白い。たしかに上手くはなかったかもな、、笑


参考
[1] Christopher Connor, "The Untouchables (1987) Review", Sep 25, 2020, THE FLIM MAGAZINE, https://www.thefilmagazine.com/untouchables-1987-depalma-retrospective-review/
[2] Richard Roeper, "Made the Chicago way, ‘The Untouchables’ endures", Jun 1, 2022, https://chicago.suntimes.com/movies-and-tv/2022/6/1/23136897/the-untouchables-anniversary-chicago-kevin-costner-eliot-ness-david-mamet-brian-de-palma
[3] "https://www.msbreviews.com/movie-reviews/the-untouchables-spoiler-free-review", May 12, 2020, MSB Reviews, https://www.msbreviews.com/movie-reviews/the-untouchables-spoiler-free-review
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