三樹夫

フレンチ・コネクション2の三樹夫のレビュー・感想・評価

フレンチ・コネクション2(1975年製作の映画)
3.5
前作で取り逃がしたフランスの麻薬王を追ってポパイがマルセイユまで来たという作品。監督は交代しジョン・フランケンハイマーが担当している。ジョン・フランケンハイマー!強そう。

前作の殺伐とした雰囲気は弱まりどこかのんびりした印象すら受ける。狂犬だったポパイが比較的マイルドになっているように思える。ただフランスでの異国文化交流とヤク漬けのパート長えぇぇ。これだけで半分以上使ってる。なんでこんなことになっているかというと、ジーン・ハックマンにのびのび芝居させているためだ。バーテンとのやり取りや野球の話のシーンは多分に即興演技が入っており、またこれが長い。
ヤク抜き中の野球の話をするシーンは、ヤクでボロボロになってある意味死を経験したポパイがここから復活していき心も入れ替えるという映画の構造的に再誕の意味を持つシーンで、またバルテルミーとの仲も深まり王道のバディものとして物語が始まるんだなと思った。やっぱ映画界の悪魔ドキンちゃんが監督から外れて人間性のある映画になってると思っていたら、復活したポパイがお礼参りにガソリンぶち撒けて火をつけて爆笑した。何が映画の構造的に再誕の意味を持つだよ。相変わらず狂ってるやんけ。フランケンハイマーもあたおかやな。
ポパイ復活後はアクションを中心に作られている。前作では車で電車を追いかけていたが、今回は自分の足のみで追いかける。ドライバーPOVがあったようにランナーPOVがあると、前作の車でやっていたことをそのまんま足でやっている。

60年代はイケイケだったが当時のフランケンハイマーは低迷期で、作る映画ハズしまくって監督のお声もかからずのところをジーン・ハックマンに誘われ監督することになった。この映画は予算430万ドルで興行収入1250万ドルなので次につながり、『ブラック・サンデー』を監督するが先に似た映画『パニック・イン・スタジアム』が公開され、その影響か『ブラック・サンデー』はかけた予算の割にあまりヒットせずフランケンハイマーは落ち込むこととなる。ほんと上がり下がりの忙しい人ね。
三樹夫

三樹夫