♪ 大人のフリして あきらめちゃ
奇跡の謎など 解けないよ
昔からミステリが大好きでした。
江戸川乱歩先生で言えば『少年探偵団』や『蜘蛛男』。モーリス・ルブランで言えば『奇岩城』や『813』。図書館に寄ればミステリの棚へ直行する子供だったのです。
でも、好きになったきっかけは憶えていません。テレビの“土曜ワイド劇場”は放映日から遡ることが出来ますが(小学二年生の冬に『天国と地獄の美女』を観たのは確実)読書は無理ですからね。何が“オリジン”なのかなあ。
…なんて自分語りから始めたのは。
「三つ子の魂百まで」と言いたかったから。つまり、幼少の頃にミステリに触れるとミステリ好きに育つ…と言いたかったのです。
そして、我が子をミステリ好きにしたいと思ったら、本作なんてどうでしょうか。
「赤ずきんちゃんを食べようとしたオオカミは本当に悪なのか?」という観点から始まり、やがては森を騒がせるレシピ泥棒事件へと繋がる物語。“複数の証言”から事実を浮き彫りにする構造なので、ミステリ入門編にはちょうど良いのです。
まあ、そんなわけで。
誰もが知る童話をミステリ風味で仕上げた作品。主人公の声を充てたのはアン・ハサウェイ(日本語版だと上野樹里さん)なんて話題性もありますからね。親子で観るにはピッタリです。
…なんて感想は表向き。
真実はいつだって最後に語られるのです。じゃじゃーん。
まず、絵柄が微妙でした。
動物たちはまだしも、主人公の赤ずきんが“ぶっちゃけ”可愛くないのです(というか、むしろギョロっとした目が怖い)。美女の声の無駄遣い…とか書くと怒られるかな…。
あと、何よりも致命的なのは論理的ではないこと。折角、複数の証言で物語を構成しているのだから「×××は●●●の証言と矛盾している!」くらいの展開は欲しかったですね。印象論で犯人捜ししたら…ダメでしょ。
まあ、そんなわけで。
大人が嗜むミステリとしては物足りない作品。やはり、子供をミステリ漬けにする第一歩…が有効活用だと思います。