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1408号室のkanacoのレビュー・感想・評価

1408号室(2007年製作の映画)
3.0
キング小説が原作。56人の客が1時間以内に死んだという曰くつきのホテルの一室1408号室に取材に来たオカルト作家が怪異に襲われる。ほぼワンシチュエーションの脱出ゲーム系ホラー。怪異は矢継ぎ早に発生し終盤はインフレ状態。怪異自体やストーリーの真実がはっきりと解き明かされない考察系でもある。(140文字)

****以下ネタバレあり&乱雑文****

幽霊も神も信じていないオカルト作家のマイクが、取材のために曰くを持つドルフィンホテルの1408号室に泊り、様々な怪異に見舞われる、ほぼワンシチュエーションタイプのホラー。スティーブン・キング原作小説「幸運の25セント硬貨」に収録される「1408号室」の実写映画化。ホテル×作家というお得意スタイル。オカルト関係の記者兼小説家の肝試しの末路っていう話。私は小さい頃からオカルト話が大好物なので、たぶんこの作者が現実にいたら、彼の本を買って読んでいたかもしれない😂

1408号室は、「邪悪な部屋」と呼ばれ、既に様々な理由で56人の客が1時間以内に死んでおり、ホテルの人間は必要最低限しかその部屋に近づかない。1408号室に宿泊したいと譲らないマイクにホテルの支配人は頑なに拒否する。ホテルの支配人がサミュエルLジャクソンであるから説得力があり、出演時間は少ないも重要な適役だったのではないかと思う。

ホテルで描く怪異は、1時間タイマーが開始されてから矢継ぎ早に発生する。畳みかけがほぼ終盤まで続くので飽きることはない。こういう事態でするに思い当たる行動を主人公は一通りしてくれるが、正直「ダメそうだな」っていう予測がついてしまうのでハラハラ度は低め。また、前に述べたように56人の客が1時間以内に死んでいるが、主人公が体験する怪異と彼が見る死者の残像(=幽霊)のようなものから、ああ、このタイミングで死んだのかな、みたいなことも考察でき、けっこう丁寧に作られていると思った。

「1408号室」については数多くの謎が残る。

部屋の怪異は主人公の幻覚だったのか、真に「邪悪な部屋」だったのか。後者の場合、聖書があったことや「邪悪な部屋」が自殺を最終目的としている点からキリスト教の範疇の悪魔ものか。忌み数の13も強調されていた。悪魔が魂を集めているのかな?主人公が無神論者である点も重要か。あと、キングが描く宗教は邪悪なことが多いし。

ホテルの支配人の立ち位置も不明確。1408号室を封じていたのは本当だろう。ただし、最後に「上出来だ」という意味深なセリフと笑みを残していることから、一連の怪異にもっと深い関係性があり?冒頭の手紙を送ったのは支配人か。その目的は何か。

そして、ラストの問題。部屋からチェックアウトできている(怪異からの解放END)OR部屋からチェックアウトできていない(怪異に飲み込まれたEND)。まぁ、あの状況下で主人公が生きているとは思えなかったし、偽物マイクが嫁にアプローチしていたから、マイクの行動から派生して、今度は嫁が「邪悪な部屋」に囚われたというエンドかなぁ?

映画がいろいろ濁しすぎているために、考えるのが億劫になってしまい、原作小説読んだらもっとすっきり分かるかなと思って買って読んだが、映画のその考察系部分全てはオリジナル追加要素だった。そもそも原作は74ページの短編小説。マイクは助かって怯え切っていたし、「その部屋に何かがいるのです。それは霊的なものではありません」「あの部屋は憑つかれている」「決して人間ではなかった」と記述あるので、まぁ、原作だけでみれば、やっぱり、「幽霊含む人間の仕業」ではなさそう。
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