エイドリアン・ライン監督の大ヒット映画。主題歌はアカデミー賞で歌曲賞を受賞。ジェニファー・ビールスは、本作がほぼデビュー作でかつ主演作となった。本人は今でもとても綺麗でチャーミングで感動する。
プロのダンサーを目指して、昼は溶接工として働き、夜はナイトクラブで踊る10代女性アレックス(『危険な情事』の女性と同じ名前)が、バレエ団への入団オーディションを受けるまでの物語。モーリーン・マーダーさんの実際の人生をベースにした話で、パラマウントは2300ドルで映画化する権利を買った。興行収入は1億5000万ドルともいわれている。
水バッシャーのシーンが思ったより早い。インパクトだけでいったら、中盤のコウメ太夫風白塗りダンスのほうが衝撃だった。
ダンスシーンは、エイドリアン・ラインらしい美しい光と影の使い方により何人スタントがいようと違和感はない、といいたいけど、ある。明らかに違う人とわかるシーンもあり、少し醒めてしまう。
絵に描いた(ようなですらない)シンデレラストーリーなので、筋はそうゆうものとして見るしかない。ジェニファー・ビールス演じるアレックスは、ボーイッシュな普段着含めて本当に可愛い。そりゃ建設会社の社長も惚れちゃうよねって思うけど、アレックスはまあまあ激情家で、ちょっと気に入らないことがあっただけで社長の家を⚪︎⚪︎しちゃうので怖い。
役者の華と監督のセンスとシンクロ率100%のタイトルナンバー『Flashdance... What a Feeling』でスコアが上がる作品。レストランで社長の元妻と遭遇するシーンでは、あまりにアレックスが若さと性的魅力にあふれていて、逆に元妻が可哀想になった。監督の作風である大人風味のエロティックさは好き。ずっと見ていたい。
◻︎メモ(『フットルース』と同文)
「MTV感覚」という言葉が、今でいうトレンド入りした1980年代。アメリカのミュージックビデオ専門テレビ局MTVが1981年に開局して以降、音楽×映像の見せ方が大きく変わった。その波は映画界にまで及び、パラマウントはMTV感のある映画を製作。それが『フラッシュダンス』(1983)で、第2弾が『フットルース』(1984)。サントラも売れに売れ、両作は商業的に大成功をおさめた。その後同社が送り出したのが、『フラッシュダンス』と同じプロデューサーのドン・シンプソンとジェリー・ブラッカイマーによる『トップガン』(1986)だった。
同タイトルの主題歌は「ヒーロー」でも知られる麻倉未稀がカバー。TVドラマ「スチュワーデス物語」の主題歌になった。