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赤い殺意のyadokariのレビュー・感想・評価

赤い殺意(1964年製作の映画)
4.1
ぽっちゃり主婦の春川ますみが自暴自棄で強盗に入った露口茂にレイプされる。今村昌平監督らしく肉感的なエロス漂う。露口茂は衝動で犯してしまうのだが愛してしまう。春川ますみは拒絶するのだが夫(西村晃)との関係で次第によろめきそうになっていくメロドラマ。汽車のシーンとかいい。

汽車をホームに添って横移動するカメラは溝口的でもあった(『君の名は』だっけ?)。レイプシーンを天井からの俯瞰で回転していくシーンは『豚と軍艦』でも使われた。当時の斬新なカメラワークが冴えわたる。撮影監督の姫田眞左久の特集だっただけに緊迫感ある動きのカメラワークが冴えていた。春川ますみと露口茂の肉弾戦は凄い!

列車の横移動は『愛染かつら』でしたね。溝口の横移動は『残菊物語』もそうだった。姫田眞左久は溝口映画の影響を受けているのかもしれない。

予告編で「重喜劇」とフリップが出ていたのは、小津安二郎の「軽喜劇」に対抗して付けたのだ。当時は小津監督の映画でさえ批評的に捉えていたのだった。
(2016年11月30日)
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