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女殺し油地獄のturkeyのレビュー・感想・評価

女殺し油地獄(1957年製作の映画)
4.6
この題材の映画化では、原作を変にいじらず一番地味ながらも、出来はこれが筆頭ではないか。
日本人の情、縁、義理、これらを描きながら近松らしく、それ故の悲劇を見事に活写してる。(後の映画は恋愛感情という安易な感傷の誘惑に負けてる時点で勝負にならない、男女の恋愛感情を一切排除するからこそ、現世の「業」が浮き出てくる)

殺人など出来る根性も覚悟もなく、一片の同情も起きないドラ息子の小ワルでも、ほんのちょっと歯車が狂っただけで、あっという間もなく人殺しの大罪人として奈落の底へ転げ落ちて行く因果、正に、この世は漁師の言う「板子一枚下は地獄」の危うさ怖さを役者陣の競演もあって描ききってる。

只、近松には申し訳ないが、このロクデナシのドラ息子の自業自得転落物語の何処が面白いのか、それは、また、別の話・・・かも。

※現代人から見れば気味が悪いだけのお歯黒、眉剃り、それでも尚、綺麗に見える新珠三千代は凄い。
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