菩薩

カンフー・マスター!の菩薩のレビュー・感想・評価

カンフー・マスター!(1987年製作の映画)
4.2
カンフー・マスター!って春麗vsベガの話かと思ったらスパルタンXの話だった、ファミコンのカセット持ってたわ。大人の階段登る「君」はまだ確かシンデレラだったはずだが、この映画の「君」はおそらくやっと下の毛が生えて来た頃であろう少年である。そんな「君」ことジュリアン少年(14歳、ヴァルダとドゥミの息子)が恋に落ちるお相手は、ジェーン・バーキン演じる二人の娘を持つシングルマザー(40歳)、年の差なんと26歳のペタジーニLOVE!しかもこういった場合は少年がお姉さんに憧れに近い恋心を抱くのが常なもんだが、この作品の場合はむしろ逆、しかもその恋の始まりが完全に魚喃キリコの『blue』(飲みすぎて気持ち悪いのに吐けない相手の口の中に指突っ込んで吐かせてやったら恋が始まるやつ)である。「君の名前で僕をハイウェイ」と言うか、「ペンギンの名前で僕を呼んで」と言うか、日本じゃどう考えても倫理的に一発NGを食らいそうなジュテームなお話であるが、そんな二人の恋は当然上手くいくはずも無いし、度重なるエイズへの言及が、二人に0.02mm以上の距離感を植え付けていく。前半は皆固唾を呑んでこの許されざる恋の行く末を見つめていたと思うが、二人の禁断の恋が娘ちゃんにバレちゃった辺りから劇場にはちらほらと笑い声が、そしてそんな空気を察したバーキンのおかんの「島に逃げるしかないわね!」の全く腑に落ちないアドバイスで完全に爆笑の渦に包まれる事となった。母である前に一人の女、そして女はいつだって王子様を待っている!ってのも一理あるだろうが、二人の行く末は既にキーとなるカンフーマスターのクリア後画面が物語っていたと言う皮肉、リトライ可能なゲームと違い人生は一発勝負、ちなみにジュリアン少年はバーキンのことをマリー・ジェーン(メリー・ジェーン?)と呼ぶが、これはおそらく「麻薬」の隠語であると思われる。
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