Omizu

手をつなぐ子等のOmizuのレビュー・感想・評価

手をつなぐ子等(1948年製作の映画)
3.8
【1948年キネマ旬報日本映画ベストテン 第2位】
田村一ニの児童文学を『宮本武蔵』『無法松の一生』の稲垣浩監督が映画化した作品。伊丹万作が脚本を執筆したが、完成を見ずに亡くなってしまった。

当時「特異児童」と呼ばれた心身障害児や学業不振児の教育について描いている。

集中力がなく、精神薄弱な寛太は学校をたらい回しにされていた。そんな中笠智衆演じる松村先生は寛太を受け入れることにする。

「特異児童」の教育だけでなく、学校教育とはどうあるべきかを描いた普遍的な作品。子供が先生を信じるためにはまず先生が子供を信じなければならない。

流麗なカメラワークと軽めのタッチが心地よく、終盤の山金が泣くシーンは感動した。

杉村春子演じる母も後半はほとんど出番はないが前半の苦しみを背負った演技が素晴らしい。また若い教師を演じた笠智衆も穏やかでいかにも慕われそうな先生を好演していてよかった。

回想シーンの挟み方や山金が罪悪感から見る幻影など挑戦的なアプローチも効いている。

観ていてとても気持ちが良くなる秀作だった。同じく稲垣浩✕田村一二✕笠智衆の『忘れられた子等』も観てみよう。
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