湿疹

乾いた人生の湿疹のレビュー・感想・評価

乾いた人生(1963年製作の映画)
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あまりにも大きな力による理不尽な暴力に対しなすなけなしの抵抗、踏まれた足をどかさせること、それはもはや抵抗でなく、身体的反射ですらあるのかもしれない……が警笛を呼び「はじまり」の暴力となること、これこそが弱者の条件であり、そのとき弱者の抵抗はもはや抵抗であることすらできず、身体の反応は権力に封じ込められる
冒頭のタルコフスキー『サクリファイス』を思わせるような開けた土地に一本の木が佇むショットのように美学的に完成された空間的なショットがずっと続くのかと思いきや、乾いた貧困を適切な位置から眺めるカメラの慎ましさにあてられ、厳かな気分にさせられる いわゆる「チェーホフの銃」が抜かれたとき、そんな慎ましいカメラが腰を上げ、生死の時間がショットの持続と交代で緊密に高まり、銃声か潜在的な銃声を皮切りに弛緩するまでの時間、これらの緊密な時間の二本目の銃での反復変奏 座ってそれを観たことは覚えている
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