こたつむり

ダイヤモンドの犬たちのこたつむりのレビュー・感想・評価

ダイヤモンドの犬たち(1975年製作の映画)
2.3
舞台は南アフリカ共和国の砂漠。
隆盛極まるダイヤモンド採掘企業で繰り広げられる強奪劇。ダイヤは奪えるのか?守られるのか?そして、紛れ込んでいると言われるスパイは誰なのか?手に汗握るクライムサスペンス!

…というあらすじなんですけどね。
アクション映画が大好きな人ならば。むふーむふーと鼻息が荒くなる感じだと思うんですけど。あー。何でしょう。この惜しい感じ。まるで、最高級のマグロなのに味噌汁の出汁にしてしまったかのような。そう。一流の素材を全て台無しにした感覚です。もったいないオバケが出るのは間違いなし、の作品でありました。

例えば、砂漠でのカーアクション。
せめてリハーサルのときに付いたタイヤの跡は消しましょうよ。ね。広大な砂漠で追いかけっこしているんですよ?誰も行かないような場所にタイヤ痕があるのはおかしくないですかね?

それと、会社に忍び込むときの仕掛けですけど。
強奪側が走り幅跳びで回避できる…というのはどうなんでしょうか。ちょいと絵柄的に地味じゃあないですかね。しかも1mちょいの幅跳びって。スリルもへったくれも無くないですか?

あと、一番楽しみにしていたスパイの正体…。
これが誰なのか?が判るところがクライマックスじゃないですかね。ね。それを世間話のようにばらす…というのは、どうなんでしょうか。劇中で誰も驚いていないし…。せめて、効果音の一つくらいは出しましょうよ。ババン!って。

そして、このスパイの性格も。
「ダイヤを奪うために人を殺すな」なんて格好良いことを言いますが。物語後半でバンバン殺してますよね。一人ならば犯罪、百人ならば英雄…ということでしょうか。たぶん、本作で一番人を殺したのは、このスパイです。あは。

そういえば。
エンディングが2パターン収録されていますが、そのどちらとも予想を斜め下に来る出来栄え。いやぁ。ちょっと呆気に取られました。今まで観てきた時間を返せと言いたくなるくらいに。ネタバレになるから書けないんですけどね。でも、ネタバレ!って目を剥くほどじゃないから…あー言いたいなあ。

というわけで。
突っ込みどころばかりなのですが…書いたものを読み返してみると、それほど「ヒドイ!」って思うほどじゃあないのが、ね。微妙ですよね。まあ、そんなわけで。これが『発掘良品』に入っているのがイマイチ理解できないのですが、隠れた名作…なのかなあ。うーん。
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