ハレルヤ

蛇の道のハレルヤのレビュー・感想・評価

蛇の道(1998年製作の映画)
3.8
愛する娘を惨殺された父親の宮下。復讐心に燃える彼の元に謎の男新島が手を貸す。新島から情報を得た宮下は真犯人を追い詰めようと関係者を次々と拉致して真相を暴こうとするサスペンススリラー。

監督は邦画スリラーの名手である黒沢清監督。今年6月公開でフランスを舞台にセルフリメイクされる事でも話題になった本作。あの傑作「CURE キュア」の直後の作品という事も相まって鑑賞してみました。

まず主演は哀川翔と香川照之。この2人の怪演が最恐過ぎる。復讐心に取り憑かれて暴走する香川演じる宮下。クライマックスで犯罪組織の人間相手に銃を誰彼構わずぶっ放しまくる姿は、狂気じみていたと同時にハードボイルドさも感じましたね。今の彼とはまた違う味がありました。

そして宮下を手助けするもその真意が分からない謎の男新島に哀川翔。感情をほぼ表に出さず、何を考えているかも分かりにくい。無機質な作風にピッタリ合った役柄と演技でした。

廃工場を中心にした舞台と手ブレカメラでの撮影。効果的に使われる長回しのカメラワークとロングショット。必要最小限の音楽と台詞。黒沢清監督の持ち味が存分に出た内容。

そして衝撃的で救いのないラスト。ちょっとネタバレ気味ですが、「SAW ソウ」のラストと通じるものを感じました。90年代の邦画ならではの空気感も相性抜群。フランスに舞台を移したセルフリメイク版ではどんな仕上がりか、とても気になりましたね。
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