順慶

パーフェクトブルーの順慶のレビュー・感想・評価

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)
4.5
公開当時、映画館で見て以来の鑑賞。
実は“サイキッカー”だったので、映画になる前から竹内義和の原作は読んでいた。昨年、リバイバル公開していたが、タイミングが合わず。
ふと第七藝術劇場のサイトを見ていたら、原作竹内義和のトークショー付で上映を知り、迷わずチケットを納入。

原作の内容は、ほとんど覚えていないが、原作よりも映画の方がおもしろいと、25年前に感じたことを思い出す。

当然、古い話なので、SNSどころか、携帯電話すらない時代。
3人組のグループアイドルから卒業する霧越未麻。女優に転身。そして仕事をもらうために必死に受け入れていく。
反して、それをいいこととは思わないファンの存在。

幻想が現実化。
現実と想像と夢の中とドラマの演技とが交差する表現がすごい。筒井康隆の「夢の木坂分岐点」的だと思うと監督がのちに、「パプリカ」を映画化したこともうなずける。

未麻の精神状態が追い詰められていくに従い、どんどん物語にのめり込んでいく。
今の自分はどの自分なのか。観客を惑わすように曖昧にしていく。

身の危険を感じているうちは、ホラー的の怖さなんだけど、人が死んでしまってからは、ミステリー的で、次第に自分が信じられなくなることから、サスペンスとしておもしろくなる。

見えないものが見えてしまう。自分にはそう見えてしまう。幻想を追いかけ、幻想に追いかけられる。
こういう展開がたまらなくいい。

竹内さん、この本を書いていてよかったなと心から思う。
順慶

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