kirito

宗方姉妹のkiritoのレビュー・感想・評価

宗方姉妹(1950年製作の映画)
3.9
【日記】

この前、紳士的なご年配の方と飲む機会があって、映画の話をしたのだが、自分は小津作品が一番日本の映画で好きだという話をしたら、ものすごく話が弾んだ。
やっぱりリアルタイムで観た世代の方・・・うらやましい。
し、小津作品と聞いてお話ができる人がいるともうそれだけで幸せな気分になる。

インフルでつらい時にグロ映画みるのはさすがに無理だったので、心が落ち着く小津作品を久しぶりにみることにした。

宗方姉妹。
この作品は小津作品の中でも個人的には少し異色の映画の印象がある。
というのも、小津映画にしては珍しくヒールが明確に存在する点だ。
宗方姉妹の姉の結婚相手である旦那が無職・酒飲み・普段は猫と戯れる・家でもなんもしないという明確なダメンズ!!
これに対比して描かれるのが、姉の初恋の相手であり、実は心の奥の奥の奥くらいで密かに思いを寄せている田代宏という男で、金もち・優しい・楽しいという皮肉なほどにいい男!!という設定。
(この映画を見た全人類はなぜ田代と結婚しなかった!!となるに違いない。)

まあ、そうできなかった理由があるのだが、そういう想いとかを秘めてでも家族に尽くすという当時の女性像が、フェミニストにとっては理解がしがたいのかもしれない。

安定の定点カメラ。
ダメンズを山村聡が熱演。これが良い。ほんとしょーもない感じがでてた。
また主人公であり妹役の田中絹代がこれまたお茶目でかわいくて魅せられてしまった。

笠智衆の出番が少しすくなかったのが残念だが、いずれにしてもこの空気感やはりたまらなかった。

2019.1.31
インフル中
kirito

kirito