ちろる

恋の掟のちろるのレビュー・感想・評価

恋の掟(1989年製作の映画)
3.8
時は18世紀のフランス。若き未亡人メルトゥイユ侯爵夫人は、愛人ジェルクールが従姉妹のセシルと婚約したと知り、復讐のためにとあるゲームを企てる。

何も知らない純粋なセシルは密やかに積み重ねた、ハープ教師との恋が乱され、夫人は更にはその悲恋を利用して、セシルを清純さを奪って、ジェルクールに恥を書かせようとする。
ゲームの駒は、長年の友人でプレイボーイのヴァルモン子爵。
ヴァルモン子爵を若きコリン・ファースが演じているのですが、セシルの処女を奪う時のエロさといったらもう・・・
同じ原作の中で一番近いのは1988年のアメリカの「危険な関係」ですが、メルトゥイユ侯爵夫人を演じたアネット・ベニングが魅力的で、だからこそ悪女っぷりも際立っています。

貞淑VS悪女
色々とあっちにこっにに動き回るのはヴァルモン子爵ですが、結局のところは女と女の戦いみたいな部分もある。
もちろん上品なトゥールヴェル夫人は戦ってるつもりはなかったと思いますが、余裕ぶっこいてヴァルモン子爵ゲームの駒にしていたメルトゥイユ侯爵夫人が、本気で焦ったのがトゥールヴェル夫人の存在。
ヴァルモン子爵が絶対的に女として欲しがってるのは自分だけだと思っていたのが愚かな事です。

ピエール・ショデルロ・ド・ラクロ原作の『危険な関係』は、なぜだかとても好きで、現代版の「クルーエル・インテンションズ」を含めて、鑑賞するのはこれが5作目。
スティーブン・フリアーズ監督の「危険な関係」とは、同じ年に製作されて、フリアーズ監督の作品がアカデミーを取ったりしているので、フォアマン監督のこの作品は少し影が薄い印象ですが、こちらの方がさっぱりしていて少し上品なこちら方が好き。
あちらの方が役者陣が豪華なのは見どころではあるのかなと思うのですが、初めて「危険な関係」のストーリーを観るならこちらのほうが軽くて良いかも。
いつもは憎々しく見えるメルトゥイユ侯爵夫人やヴァルモン子爵も若き日のアネットベニングとコリンファースは不思議と少しだけ愛嬌を感じました。
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