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危険な関係のメルのレビュー・感想・評価

危険な関係(1959年製作の映画)
4.0
原作は18世紀の貴族の話で、暇とお金を持て余した夫婦が自分たちの浮気や不倫だけでは飽き足らず、知人やその周囲までも話の種と言わんばかりに陥れていく。

ゲームの様に他人の心を弄ぶこの夫婦は、共犯者としての絆みたいにお互いは信頼で結ばれていると信じている。

何度もリメイクされたり海外でもドラマ化されているのだから、人間の心の中には残念ながらそんな欲望があるのかも知れない。

美男美女の代名詞、ジェラール・フィリップとジャンヌ・モローにはこの退廃的な雰囲気がよく似合うが、どちらかと言うと裏で策を練るジャンヌ・モローの表情は一枚上手。

オープニングから素敵なジャズピアノのメロディで、全編ジャズのリズムが印象に残る。ラストまで来て、あ!このメロディ!はこれだったのかぁ!となった。
調べてみるとピアノはセロニアス・モンクで他はアート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズだとか。どうりで画面のドラマーの音とズレてたのはそうゆう訳か。

ジャンヌ・モローはこの前年にマイルス・デイビスの楽曲で名作「死刑台のエレベーター」を撮っているので、当時からフランス映画とジャズは蜜月時代だったのですね。

残念な事にこの年ジェラール・フィリップは36歳の若さで亡くなってしまったので実質的な遺作となった。迫力でジャンヌ・モローに遅れをとった感があったのは体調が優れなかったからか?

ジャン=ルイ・トラティニャンが生真面目な学生役で、新たな一面を見られてそれも新鮮でした。

監督自身も多くの女優たちと浮き名を流した張本人なのに、「ここに登場する人妻はフランスの大多数とは違う」と最初に説明してるから可笑しい。あのロジェ・バディムも世論は敵に回しなく無かったのでしょうか。笑
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