あーさん

ゴッドファーザーのあーさんのネタバレレビュー・内容・結末

ゴッドファーザー(1972年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ずっと気になりながら後回しになっていたのは、所謂マフィアものだという先入観。殺人・暴力的なシーンがある作品は苦手で、極力避けてきたように思う。

たまたまBS放送で目にした2作目。続けて3作目を観た。そして1作目をアマプラで。
なので、観た順は Ⅱ→III→Ⅰ 。
そこから、辻褄合わせにもう一巡。
1週間かけて、2回ずつ観た。

物凄い作品だった。。

大きな河が流れるが如く、三代に跨がる壮大な家族の歴史物語。
そこにはマフィアとか何だとか、職業による特異性はあるようで実はなく、人間の営みについて、家族について、親から子へ引き継がれる血筋とは、男女の価値観、きょうだいという名の格差・競争、時代の移り変わり、、様々なテーマが内包されていて、ガッチリとまさに心を鷲掴みにされるような鑑賞体験だった。。

マーロン・ブランドは演技派で知られているが、苦手意識があってあまり好きではなかったというのが、今作にずっと手が伸びなかったもう一つの理由でもある。
が、百聞は一見にしかず。やはり、唯一無二のすごい役者であることは間違いない、と思った。

マーロン演じるヴィトーは、軸がブレないということにかけては、やはりゴッドファーザーの名に相応しく、存在感の大きさでは右に出るものはいない。噂に聞く役作りの為の含み綿、しわがれた声、凄みを感じさせる冷静沈着さ。。
それだけでも観る価値はあった!

裏稼業のドンの絶対的存在感を知らしめるじっとりとしたオープニングから、、彼の末娘コニー(タリア・シャイア→コッポラ監督の妹)の明るい結婚式のシーンへ。この振り幅!

喧嘩っ早くて熱血漢の長男ソニー(ジェームズ・カーン)、
気が弱くてお調子者の次男フレド(ジョン・カザール)、
一人堅気の世界に身を置く大学生(のちに軍人)の三男マイケル(アル・パチーノ)、
4人兄妹の自己紹介的な場面でもある。
+トム(ロバート・デュバル)
→ヴィトーが孤児だった彼を養子に。現在弁護士でドンの片腕。
彼はイタリア人ではないが、ファミリーにとっては実の家族のような存在。彼のファンが思いの外多いが、私もその一人♪ファミリーへ愛情を持ちつつも常に一歩引いて冷静な判断ができるのは、この人だからこそ。
この兄妹達のそれぞれのキャラクターの愛おしさよ。。

ヴィトーは、結婚式のパーティーの最中もひっきりなしに訪れる客達の相談役的な仕事に追われている。今や政治家や法曹界、芸能界とも繋がり、裏社会のドンの名を欲しいままにしていた。

錚々たる五大ファミリーのトップ達が会する場でも、圧倒的な存在感を示す。やっていることは他のファミリーと同じ殺人や犯罪ビジネスでありながら、麻薬には手を出したくない、と語るヴィトーの言葉にはどこか確固としたポリシーがあるようにも思われる(そこが、犯罪組織のドンであるのに人たらしでもある所以かもしれない…)。

永遠に続くかと思われたドン・コルレオーネ・ファミリーだったが、やがて麻薬ビジネスを巡ってヴィトーに異を唱える組織が現れ、予期せぬ裏切り、復讐の連鎖によって次第に暗雲が立ち込める。時代は変わり始めていた。

命を狙われ、瀕死に陥ったヴィトー。恋人の為にファミリーとは距離を置こうしていたのに、父を守る為に必死で奮闘する三男マイケル。
表ではフレンドリーな顔をしながら、えげつないことを平気でする裏切りなんて日常茶飯事の世界。脅し、制裁の場面がビビリには怖すぎるぅ…(何度も声を出してしまった!)。
ここから、決定的なある出来事を経て、マイケルの中に父の意志を継ぐ心が芽生え始める。。

もう後戻りはできないところまで来てしまった!

そこから、シチリア島潜伏中の出来事(最初の結婚、そして悲劇)、恋人のケイ(ダイアン・キートン)との再会・結婚、、目まぐるしく月日が過ぎる間に、マイケルは気づけばドンの後継者になっていた。

父の思いを胸に次々と降りかかる難局に立ち向かうマイケルだったが、父も兄ソニーも亡き後、それは想像以上の孤独、途轍もない重責を担うという事であった。。


一つ一つのシーンが心に残り、一つとして無駄なシーンがない。
楽しい場面も悲しい場面も、人生の様々な場面が思い出すと鮮明に浮かび、そのエピソードの数々がどんどん数珠のように繋がっていくのは、本当にお見事!

当時30代、コッポラ監督の辣腕ぶりが窺い知れる。



(Ⅱ に続く…)
あーさん

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