netfilms

大統領の陰謀のnetfilmsのレビュー・感想・評価

大統領の陰謀(1976年製作の映画)
4.0
 1972年6月ある日の深夜。ワシントンのウォーターゲート・オフィス・ビルに5人の男たちが侵入する。通報を受けた地元警官は、5階にある民主党全国委員会本部に侵入した男たちを発見した。彼らは秋の大統領選挙に向け、民主党の妨害のために、作為的に雇われていた。5人の職業は、元CIAの情報部員と大統領再選本部の現役の対策員だった。不法侵入の現行犯で逮捕された。まだ入社して9カ月になったばかりのワシントン・ポスト紙の新米記者ボブ・ウッドワード(ロバート・レッドフォード)は、ウォーターゲート事件が起きてから7時間後に、上司のハワード・ローゼンフェルド(ジャック・ウォーデン)に呼ばれた。一方、同じポスト紙のベテラン記者カール・バーンスタイン(ダスティン・ホフマン)も、この事件に興味を示していた。その朝、彼は現場にいってきた記者たちのメモをコピーし、局長のハワード・サイモンズ(マーティン・バルサム)や主幹のブン・ブラッドリー(ジェイソン・ロバーズ)を説得し、担当記者となる。フットワークの軽いバーンスタインは、ウォーターゲート・ビルのあらゆる人たちに片っ端から電話をかけるが、彼らの口は皆一様に重かった。

 ウォーターゲート事件を追求し、ニクソン大統領を失脚させたワシントン・ポスト紙の2人の記者、カール・バーンスタインとボブ・ウッドワードのルポを原作とする物語は、スティーヴン・スピルバーグの『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』とピーター・ランデズマンの『ザ・シークレットマン』の中間に位置すると言っていい。一見、何の変哲も無い不法侵入事件に思えた1つの事件に、閑職に追い込まれた日陰者と新参者は当たりをつける。バーンスタインは徹底的な電話攻勢と、人物への突撃取材を得意とするいかにも現場仕込みの記者で、対するウッドワードはナイーヴで経験も未知数ながら、彼が情報提供者「ディープスロート」と接触することが、事件の解明に重要な役割を果たす。2人の2年2ヶ月に及ぶ執念のような愚直なまでの操作は、ジャーナリズムにとって「真実」とは何か?ということを如実に語りかける。共産党員も根負けさせた彼らの執念は、巨悪を暴くことでアメリカの「正義」とは何たるかを暴き立てる。その実直さは今作の監督であるアラン・J・パクラの丹念な取材の積み上げが相乗効果を生む。現在ではジャーナリズム映画の金字塔とされる今作の世界観は、昨今の『バイス』や『記者たち~衝撃と畏怖の真実~』とも地続きに違いない。

今週金曜日21時〜ミヤラジ77.3FM『We Are Movie Lovers.』は、
『実話ベースの映画』特集!! ゲストはとちぎ朝日の石川編集長。
私がずっと温めて来た企画が、
実話ベースの映画が立て続けに公開された2019年春解禁!!

なぜ今、アメリカ映画は実話ベースの映画なのか?
2代目パーソナリティとして2夜目です。是非ともご期待下さい。
netfilms

netfilms