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キツツキと雨のodyssのレビュー・感想・評価

キツツキと雨(2011年製作の映画)
2.0
【C級映画を作る話もC級】

何だかよく分からない映画でした。

小栗旬演じる若い映画監督は、自分が撮っている作品に確信が持てていない。というか、むしろ否定的なんでしょうね。実際、途中で逃亡しようとするわけだし、シナリオも役所広司にあげちゃうわけだし。

たまたま知り合った木こりである役所広司は面白いと言ってあげるわけだけど、でもふだんから映画をほとんど見ないであろう人間の発言に、そんなに重みがあるんでしょうか。

そもそも、撮影している映画はどう見てもB級、いや、B級にもならないC級程度の代物。あんな映画、私だって監督にしてやると言われても断りますね(笑)。だから、途中で逃亡する監督のほうが正解。それを引き止める助監督(古舘寛治)は不正解。いや、それじゃ商売にならないだろうと言われりゃそうだろうけど、この映画見ていても、だったら助監督が監督やれば?としか思えない。それで何か不都合があるんでしょうか?

映画を作ることをテーマにした映画、じゃないんですよね、この作品は。映画を作る難しさや苦労を描く映画というのはあっていい。小説家を主人公にした小説があるように。だけど、この映画は違う。創造の苦しみだとか、映画を作っていく際の人間関係の難しさなどを監督が引き受けて苦悩する、ってな話じゃない。

喩えて言えば、引きこもりの前歴のある新入社員が会社の業務に耐えられずに逃げ出そうとするが取引先のベテランに慰められて思いとどまる、みたいな映画でしょ。

田舎の人たちは徹頭徹尾人畜無害な善人に描かれている。むしろ、都会から来たよく分からない映画製作陣を翻弄する無邪気な悪意、みたいなものがあってもよかったと思いますね。悪意が微塵もない映画なんてゴミですから。
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