ヘソの曲り角

アウェイ・フロム・ハー 君を想うのヘソの曲り角のレビュー・感想・評価

4.0
110分でさらなる地獄の舞台が整って終わった。
胸を締めつけられるとはこの映画のことだろう。マジでしんどい。全員の立場が分かるぶんますます辛い。超ビターな映画……。サラ・ポーリー、当時20代にしてこの監督デビュー作。恐ろしすぎる。

アルツハイマーになった妻を介護施設に入れて一ヶ月の面会禁止期間を経て再会したら忘れ去られてて、おまけに施設内で知らん男に恋してた……という話なんだがそれだけだとよくある介護もの。そうはいかないのが、夫が大学教員で生徒に手出しまくってたのがバレて妻と共に郊外に移って再スタートを切って20年、というバックボーンがあるから。正直夫が過去になにしてようが、妻が忘却したという事実以外は無いので因果はない。でも、ああいう状況では因果応報を思うしかないのだ。それで結局先の知らん男の妻まで辿って関係持っちゃって、お互いもう解放されましょ…となったタイミングであのラスト。地獄。妻は妻で「束縛したくない、私を捨てろ」の一点張りなところがけなげでますます不憫になる。多方面で報われない大人たちの悲しき玉突き事故。