【老美男美女主演の映画チックな作品】
老人のアルツハイマー病を扱っているから、さぞや重苦しく、つらい気持ちになる映画なんだろうなあ、でもまあ一応見てみるか・・・・・てな気持ちで映画館に足を運んだのですが、どうしてどうして、なかなか楽しい映画でありました。
美男美女が主人公であることが第一の勝因でしょう。発病した妻を気づかう夫グラントを演じるゴードン・ビンセントがまず「いい男」です。たしかに老いているけど、ロマンスグレイの髪に、ワイルドなヒゲが似合っていて、がっしりした体つきはベッドシーン(っていっても「事後」を映すだけですけど)でも映えています。日本の若い女の子でも、「こんなおじさま(おじいさま?)に抱かれたい」なんて思ったりするのでは?
そしてヒロインのジュリー・クリスティーも、たしかにおばあさんではあるけれどキレイで、色香も残っており、彼女が施設で見知らぬ男に献身的に尽くしているのを見て夫が嫉妬するのも、なるほどと思えてきます。
そういう意味で、映画の主人公は美男美女じゃなきゃあ、という基本をしっかり守った作品なのです。個別的なシーンも映像的に美しく撮られていますし、筋書きも結構しゃれたところがあり、映画チックで、見ていて飽きません。
たしかにアルツハイマー病という重いテーマを含んではいるのですが、予告編を見て想像していたようなテーマの重さに頼ったリアリスティックな作品というのとはちょっと違います。むしろ映画らしい映画、なのです。
テーマがちょっとね、と思っている方には、結構楽しい作品だよと薦めてあげたい、そんな映画です。