久々の視聴。スポーツ映画で描かれることのなかった、球団運営の裏側の覗ける点がとても興味深いです。本作で描かれる「統計分析によるチーム強化」は、今ではどこのチームもやっているでしょうが、この当時は多くの軋轢を生んだことは理解できます。
本作で印象に残るのは、自分が獲得した選手を起用しろとオーナー(ブラッド・ピット)が現場に執拗に圧力をかける場面。こういう場面は従来のスポーツ映画では、オーナーの横暴として否定的に描かれますが、本作は逆でオーナーの判断が正しかったことが証明される展開に。
このエピソードには賛否両論あるでしょう。プロスポーツの世界で「現場に口を出すオーナー」は一般的には忌避されるもの。それによってチームが崩壊する事例も伝えられています(日本プロ野球でも)。
でも、ちょっと待てよ、と。知識や経験のある「玄人」にできない変革が、固定観念や先入観にとらわれない「素人」によって成し遂げられることもあるのではないか。自分の成功体験に基づいた指導しかできないリーダーになってはいかんなと、自戒させられました。。
斯様に秀逸なビジネス映画として見てしまいましたが、野球というスポーツの楽しさもあるし(20連勝には胸躍りますし)、「ヤー!」と電話に出るブラピはカッコいいし、彼の娘が弾き語りで歌う「The Show」という曲はいい曲だし、多くの魅力に溢れた映画です。
ちなみにですが、アスレチックスはどうしてこうも落ぶれたんですかね。いまから30年くらい前は、アスレチックスといえばスター揃いの常勝チームで、カンセコ、マグワイヤ、リッキー・ヘンダーソン、デーヴ・スチュワート、エカーズリーと今でも名前がスラスラ出るくらいなのに。ユニフォームもかっこよくて憧れたものです。