三四郎

海軍の三四郎のレビュー・感想・評価

海軍(1943年製作の映画)
3.6
東宝と松竹はやはり全く違う。松竹には戦意高揚の意図が希薄だ。現代においても時代錯誤と思えない映画となっている。
東宝と比較すると松竹は、勇ましさ、華々しさに欠けるが、科白に無理がなく自然で実に人間らしい。人間の心理や言葉を細かく描き出しており深みがある。

母親のあの表情は、複雑な心境といった感じで、後の『陸軍』に繋がるところがあるように思う。もちろん、監督の意図は、私とは異なっただろうが…。

山盛りについだ白米に対して「西郷どんでたかもりさん」こういうユーモアある科白がイイ笑

英語の授業で、生徒が質疑応答する、その内容が興味深い。
どちらの生徒の言い分も理解できる。
「私は西洋の歴史を読めば読むほどイギリス人が嫌いになります。どうしあんな奴らの言葉を一生懸命に勉強せねばならんのですか?」
「西洋の知識のええ部分を日本のものにするために外国語を勉強する必要があると思います」

私もイギリスという国について学べば学ぶ程、イメージが悪くなった。しかし、憎めない!
こんなにも世界中で残酷なことをしておきながら、恨まれていない国は稀だと思う。夏目漱石はイギリスへ留学し、絶望し、イギリスを嫌ったが、やはり尊敬もしていた。不思議な国である。

卒業式は「蛍の光」このシーンが最も美しくて私は好きだ。東宝に比べて「軍艦マーチ」の軽いこと軽いこと。
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