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海軍のmhのレビュー・感想・評価

海軍(1943年製作の映画)
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真珠湾攻撃で軍神となった若き海軍将校の半生記。
日米開戦ニ周年記念の大詔奉戴日(1943年12月8日)に公開した松竹製のプロパガンダ映画。
クライマックスの真珠湾攻撃に差し掛かると、占領期にちょん切られたままの状態で終わっている。そんなこんな含めて、資料的価値が高い。
話自体は後年のリメイク作、東映版「海軍」に詳しい。新藤兼人脚本で、主役の座を奪われた(ウィキペディア参照)千葉真一がキレキレ。ヒロインとのラブロマンス盛り盛りで実に面白い。
本家であるこっちは、全体的にやや冗長。ゆったりと大日本帝国海軍の威風堂々を楽しむ感じだった。
中学時代の配属将校を笠智衆がやっていて、あの調子で「死亡。全員、死亡」とか不穏なセリフを吐いてくる。
訓話の最中「天皇陛下」というワードが出るたびに姿勢を正す。陸軍ばかりじゃなく海軍でもそうだったんだな。
英語の授業中に英米が憎いという会話があったけど、われわれからしたら、市井の中学校に英語の授業があったほうに驚くよね。敵性言語は使っちゃいけないんじゃなかったっけ。聞いてた話と違っている。
思わせぶりな母の眼差しに、フィルメーカーの反戦姿勢を詰め込んでいたように思われた。(母役は監督の奥さんとのこと)
特筆すべきはこの映画のヒットが、翌年に公開される木下恵介の「陸軍」を制作させたこと。古今東西「陸軍」に勝るプロパガンダ映画はないと個人的に思っているので、その意味でもこの先行作の成功がありがたいのだった。
決して面白いわけじゃないが、見といてよかった。

メモ
志村喬は出てない。フィルマークスの記入ミス。
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