ねぎおSTOPWAR

猿の惑星・征服のねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

猿の惑星・征服(1972年製作の映画)
4.0
昔観たんですけどね、でも詳細な記憶ない・・ww
ってことであらためて。

1作目と3作目でコーネリアスを演じたロディ・マクドウォール(ジョン・フォード監督「わが谷は緑なりき」の末っ子ヒューです!)がその子シーザーを演じました。ついに主役!いやあ見事ですねー。一見の価値ありです!!


評論家のみなさんなど芸術的な映像を指摘しています。
本来製作側から一作目の監督を待望されていたJ・リー・トンプソン。
警官の股の下に猿たちが歩く画。=支配:被支配を表す画です。
その他確かに秀逸と思うも、どうにもわたしは「昭和の日本映画って結局このあたりの影響受けたまま止まっているんだよなあ・・」なんて思ってしまうわけです。
<近未来>を描くのに、ロスを選び、なんだか味気ないリアリティ・・。
1972年ですからね、「ゴッドファーザー」「ポセイドンアドベンチャー」(ロディ・マクドウォールが船員役出演!)ですよ。
ポジティブに捉えましょう!!
人間の色味は極めて抑えて、チンパンジー:緑、ゴリラ:赤・・と猿たちがカラフル。
そして何よりも、シリーズで最も強烈なメッセージを含んだ作品です!
当時アメリカ社会において、黒人の公民権運動がありましたからね。
もうセリフを見れば一目瞭然。
以下二か所抜粋します。


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でもクライマックスなので控えたい方は本編観てからご確認ください。
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シーザー「死ぬ前に答えろ
お前が可愛がった犬猫と我々はどこが違う?
なぜ我々をペットから奴隷にした?」
市長「君たちは先祖だからさ。人類は猿から生まれた。猿の部分がまだ人類の内部にある。
野獣はムチで屈服させるべきだ。鎖で繋ぎ止めるべきだ。
君の野獣性は人類の汚点でもある。それが許せない。自分の中の醜い部分を憎むのと同じだ。」
・・darkside myself

②いよいよのクライマックス!
*ちなみに以下は完全版です。
公開版は画をズームしてシーザーの口を隠し、セリフを入れ替え、最後市長を惨殺したであろうショットは無くしています。慈悲ある言葉に差し替えています。

マクドナルド(市長の参謀:アフリカンアメリカン)
「シーザー、これで正しいのか?」
シーザー「猿の観点でか?」
マ「憎悪と暴力しかない。何の権利で殺す?」
シ「奴隷の権利で暴君を罰する。」
マ「シーザー、奴隷の子孫の私から慈悲をお願いする。」
シ「私は人類ではない」
マ「知ってるとも、進化した猿の子孫だ。」
シ「私の子孫が地球を支配する。」
マ「より悪い方法でか?」
シ「・・人類ほど悪くない。」
マ「暴力で自由を勝ち取れるもんか!明日は・・」
シ「明日では遅すぎる。超能力を持つ昆虫が現れ、地球を支配するかもしれない。」
マ「猿の方がマシか」
シ「ずっとだ。今日の勢いを見ろ。5つの大陸の猿が明日は立ち上がる。」
マ「ナイフを持ってか、火炎瓶をふりかざしてか!」
シ「火があれば煙が立つ。その煙の中で今日からは、我々の仲間が作戦を練り戦い続ける。人類滅亡の日までだ。人類には地球を任せられない。人類は戦い合い、かけがえのない地球を破壊している。都市は核で汚染され、海は死に大地は荒廃している。最後の悲劇から私は仲間を救うのだ。そして我々の都市を築くが人類は受け入れない。我々だけの国と軍隊を持つ。宗教も政治も我々のものだ。その新しい時代が今ここで始まった。」

このシーザー名演説の後、人間もゴリラたちも皆ポカンとしている。さらに輝かしい音楽はなく不穏な雰囲気のSE・・・この演出がこのセリフの意味を最大限に伝えてる。
言ってしまえば人類=白人、猿=黒人という図式ですね。
行われている行為は同じであり、映像的にもさんざんニュースで報じられた警官等による黒人虐待の映像をモチーフに構成されているそうです。