Jeffrey

わらの男のJeffreyのレビュー・感想・評価

わらの男(1957年製作の映画)
3.0
「わらの男」

本作は1958年にカンヌ映画祭に出品され、主演、監督、脚本を務めたピエトロ・ジェルミのドラマで、1969年に日曜洋画劇場で地上波された際の時の吹き替えが収録されてないのは残念である。本作は燃え上がる恋の儚さをリアリズムタッチで描いた恋愛映画の名作としてようやく国内で待望のリリースされ、今回HDリマスター版のBDを購入して初鑑賞したがよかった。生きる2人の日常を丹念に積み重ねたピエトロ・ジェルミ 監督の1957年のイタリア映画である。監督含め脚本に携わった人が4人いるため所々それぞれのこだわりの強調性が見て取れる作風でもある。そういえばこの監督のパルムドール受賞作品である「蜜がいっぱい」と言う作品も早くソフト化してほしい。


さて、物語は幸せな家庭と陽気な仲間に囲まれながら繰り返される日常に、潤いをもたらす若い女性の登場に心踊らせる機械工アンドレア。妻子と離れて暮らすことになり、アンドレアはリータとの逢瀬を重ね、のめり込んでいく。しかし妻子が家庭に戻ってくることになり、この悲しい恋も清算をしなければならない。彼女には恋の終わりを分かっているものの、それでも心が激しく揺さぶられ、思いもしない行動をとってしまう…と簡単に説明するとこんな感じで、幸せな家庭がありながら若い女性にのめり込んでいく中年男のラブロマンスがモノクロームの美しい映像と印象的なメロディーで綴られる。温かい家庭を体現する夫人とは対照的で、美しくもいかにも頼りなげな女性との間を揺れ動く主人公の危うげな恋の泥沼をほろ苦く描いた良作である。この映画を見ると浮気をする人たちの末路があまりにも悲劇的で浮気なんてよくないと思わされる(笑)。
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