明石です

遊星よりの物体Xの明石ですのレビュー・感想・評価

遊星よりの物体X(1951年製作の映画)
3.6
孤絶した僻地で異星から飛来した謎のモンスターに襲われる話。骨子となるシナリオ部分以外、カーペンター御大のリメイク版とは全く違うオリジナル。本作のモンスターはずいぶん奥ゆかしく、最初の1時間は殆ど影しか見せず、ラスト25分付近でようやくお目見え。そこからギアが上がっていくのかと思いきや、、なんだか全編通して、軍と科学者が対立しながら作戦会議めいたことをしてる感じでメリハリはない。間違いなく古典ではあるけど、さすがに名作とは言えなそう。

結果、80年代のSFホラーのリメイク作として双璧をなす『ザフライ』のオリジナル版を見た時と同じような感想を抱きました。ジョン・カーペンター(とクローネンバーグ)は偉大だった、、SFX技術を駆使したモンスターの造形もさることながら、生きた人間と完全に見た目が同化し、誰が敵で誰が味方かわからなくなるボディスナッチャー風のひねりを加えたのが最高にお見事でした。しかし大好きなカーペンター監督の偉大さが改めてわかっただけでも本作を見れてよかった。

また外界から孤立した場所で未知の生物に襲われる恐怖という、本作が確立した、人間が抱く根源的な恐怖感に根ざしたような独自の設定は、のちに『エイリアン』で踏襲されSFホラーの文法になるわけで、その意味では画期的な発明だったはず。そんなところも含めて、随分こぢんまりした地味な映画ではあるものの駄作と切り捨てることは絶対にできない1作なのでした。
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