緑雨

エリン・ブロコビッチの緑雨のレビュー・感想・評価

エリン・ブロコビッチ(2000年製作の映画)
3.5
とんとん拍子のサクセスストーリーなのでイマイチ面白くない、との評がある。が、実際そんなもんだ。魅力的な人物の人生は、それだけでうまくゆくことが約束されている。こんなにポジティブで、能力にも容姿にも恵まれている女性なんだから、人生うまくいって当然。

そう考えると、この映画で描かれている以前の彼女の人生がうまくいってなかったのは何故なんだろう、と疑問がわいてくる。たまたま今回は周囲の人間(エドとかジョージとか)に恵まれたから?そうではない。魅力的な人物の周りには、いつだって魅力的な仲間が寄ってきて手を携えてくれるはずだ。

急にうまくいくようになったのは何故かといえば、やっぱり彼女自身の中で「何か」が変わったから、だと思う。「何か」をきっかけにして、彼女は魅力的な女性に生まれかわったのだ。その「何か」がこの映画ではうまく描かれていないような気がする。だから映画全体にもう一歩深みが足りず、結局一番印象に残るのは、エリート弁護士相手に爽快に啖呵を切るシーン、ということになってしまう。

それよりも、ソダーバーグの淡々とした演出が気に入った。カリフォルニアの乾いた大地を黄色がかった画面で捉え、ドキュメンタリーチックな控えめなBGMが重なっていくあたり、なかなか良い。
緑雨

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