Aoi

赤い風車のAoiのレビュー・感想・評価

赤い風車(1952年製作の映画)
4.1
精神異常があったり、マジで頭おかしい人って基本的に社会に受け入れられないけれど、絵画の世界はどんな変人も受け入れる包容力があって、というかむしろ、心に闇がある人の方が、人の心に何か訴えるものがあって。評価軸が、他の業界とズレているから、私は美術が好きなのかもしれないって思った。

この映画で描写されるロートレックの人生は、辛くて仕方なかった。もう少しで幸せになれそうなのに、少し立ち止まれば色んなところに幸せが落ちているのに、自尊心のあまりの低さから、自分を認めてあげれず、どんどん惨めになるロートレック。

でもこの極端にまで自分を卑下する性格だから、ムーランルージュの踊り子達を絵に描こうと思い、明るく振る舞うけれど、闇を抱えた彼女たちの表情を上手く描けるんだろうな。

客観的に見たら彼の人生惨めだけれど、没後100年経過しても、評価され、何か引き込まれる要素がある。そう思うと、彼の不幸な死も、不幸な恋愛も、不幸な人生も、無駄じゃなかったんだなぁと思ったりもする。
美術は面白い。
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