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モーツァルトとクジラのodyssのレビュー・感想・評価

モーツァルトとクジラ(2004年製作の映画)
3.0
【鯨幻想国家アメリカ】

2004年制作のアメリカ映画。ピーター・ネス監督作品。 

自閉症(アスペルガー症候群)で社会への不適応に悩む人たちが主人公。彼らはお互い励まし合うためにサークルを作っているのだが、そこで出会った男女が自閉症故の困難さを克服して結ばれるお話である。 

タイトルは、二人が初デートするのがカーニバルで仮装する必要があり、そこでヒーローは鯨のぬいぐるみを着、ヒロインはモーツァルトの音楽が好きなのでこの作曲家の恰好をする、というところから来ている。ちなみに、鯨のぬいぐるみを着るのは、この時代、鯨は人間と同じくらい頭がいいという幻想がアメリカを支配していたから。(そのせいでアメリカは日本の捕鯨に圧力を加えたのだが、鯨=人間説は、今では破綻している。) 

ほかにサークル仲間とホエール・ウオッチングに行こうという話も出てくるが、結局実現しない。 

この時代の鯨イデオロギーはさておき、映画としては自閉症の人たちを材料にして前向きな生き方を提示しようというところには好感が持てるが、男女二人の恋愛譚としてはやや物足りない感じがした。 

あと、主役二人に光が当たりすぎて、他の人たちがいかにも脇役という設定もどうもね。群像劇になっていたら説得力が増したと思うなあ。
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