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バイオグラフィー:TLC フォーエバーのプレコップのレビュー・感想・評価

4.0
病気、出産、メンバー間の不和とレフトアイの死を乗り越えたTLCは今が第二の全盛期だ!

TLC全盛をリアルタイムで体感していない自分にとって、2017年のセルフタイトルアルバムでの復活が彼女たちの音楽との最初の出会いだった。現役バリバリのパフォーマンスは第一線という言葉が過言でないし、T-ボズとチリの若々しさは凄まじい。多くの場合、音楽グループの再結成はショボくなりがちではあるが、TLCはそうなっていない。その胆力に心惹かれる。活動時期や境遇から、ビースティ・ボーイズとも被るが、TLCはまだまだ現在進行形であるというのがすごい。

順風満帆に見えるTLCのスキャンダラスな背景は、メンバーにとってかなり辛いキャリアであったことを物語る。無責任な男性に巻き込まれる彼女たちは、それを乗り越えて女性たちのパワーを表明し、新たな女性像を提示して時代の旗手になっていく。メッセージの力強さがありながら、レフトアイのラップには毒々しさがある。そんな唯一無二の音楽性とキャラクターによって、後続のスターたちの憧れになる必然性を感じられる。

インタビューにはミッシー・エリオットやデイヴ・グロール、そして今や現代ブラックミュージックの生き字引となったクエストラブが登場して、花を添えてくれている。

ラストで、T-ボズとチリはレフトアイがもしも今でも生きていたら、女版カニエになっていただろうと話す。たしかにそうなっているかも、と思ったし、そうなっているところを見ていたかった。

(追記)
今回はTLCが取り上げられたヒストリーチャンネルの「バイオグラフィー」シリーズ、今後のラインナップは昭和天皇、マッカーサー、ヒトラー……ってどんな番組なのよ
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