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All the Songs We Never Sangのichikawaosamuのレビュー・感想・評価

All the Songs We Never Sang(2023年製作の映画)
4.0
2024年大阪アジアン映画祭

東京に暮らす17歳の少女・ナツミは、母と絶縁状態の叔母に会いに小さな島へとやってくる。叔母から海女の技術を学ぶために、そして幼い頃に母から聞いた宝物を探す目的を密かに抱いて…。(ここまで映画サイトからの引用)


叔母の怜子さんの態度が厳しすぎる。意固地で、頑なで、強情で、誰も寄せ付けない。絶対に許せないこと、許せない人が彼女を囲い込んでいる。

周囲を見渡してもこれまでの事を思い出しても敵だらけ。それは彼女から見える彼女が作り出した世界。そこで生きるのはシンドいし辛いだろうなぁ。ナツミ(ウミ)に対しても厳格かつ無茶なルールを課してしまうのも自己擁護・自己正当化の所以なのだろう。

どこかの自己啓発書には、「許せないと思ってる事を自ら率先して許せば世界はこれまでと違って見える」と書かれてるけど、実際にはそう簡単に許せる訳もない。周囲が何と言おうとも、彼女にとっての正当な理由があるし、ボクたちがそこには立ち入る事は難しい。

それでもお節介な介入が出来るのが、小さな島の濃くて閉じた人間関係なんだろうな。自己啓発書には載ってない回答だ。

島の雰囲気に沿って流れる音楽も心地よかったし、ほのぼのとした人たち、ラッパー、お巡りさん、ワンちゃんもスナックもそう。ウミちゃんの17歳の最後をうまくやり過ごして欲しい。
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