菩薩

ラグタイムの菩薩のレビュー・感想・評価

ラグタイム(1981年製作の映画)
3.8
アカデミー賞8部門、ゴールデングローブ賞6部門にノミネートされたにも関わらずいずれも無冠に終わってしまってのは、偶像劇を装いながら結局は黒人差別の物語ばかりに焦点を当ててしまったアンバランスさ故か、それともそのテーマに時代がまだ追いついていなかったからなのか、いずれにしろ少しばかり世に出るのが早過ぎた様に思える。ラグタイムの軽快なリズムに乗せた重苦しい事態は悪い方へと爆進を続け、そのリズムすら消え失せた後、世界は第一次世界大戦へと突入していく。黒人差別から生まれるテロリズムと、そのテロリズムに加担する白人の構図は現代にも通ずるものがあり、憎しみの連鎖の象徴としての世界大戦は落とし所として相応しいのかもしれない。序盤に挿入されるスタンフォード・ホワイト殺人事件は実在の事件で、シャブロル 『引き裂かれた女』の元ネタのやつ。アメリカ近代史のおさらいをチェコ出身であるフォアマンが撮る面白い試み、移民の視点、ってことなのかな。
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