菩薩

骨の菩薩のレビュー・感想・評価

(1997年製作の映画)
4.1
『ラルジャン』で撮る『ある子供』みたいなお話、とりあえず意味の分かる(と言っても『溶岩の家』に比べればの話だが…)映画で良かったし、めちゃくちゃ百合映画だった。男性は殊更奪う・脅かす存在として描かれる一方で、女性達はそれに対抗する様に与え・護りながらそれぞれの生命と子供の存在を繋ぎ止めていこうとする。母親は二度のガス自殺に挑むがそのどちらも死ぬ事を禁じられる一方で、母親にもなれず父親になる気すら無い青年は一度目の殺意、復讐によって容易く命を落としていく。それを成し遂げるクロティルデはどちらかと言えば男性めいた顔立ちをしているし、そもそも皆がどこかしら中性的な顔立ちをしているのは狙っているのだろうか。彼女が次作『ヴァンダの部屋』では滅びゆく世界の象徴として微動だにせぬカメラにより切り取られ続けるのは、改めて尖り尖った試みであると思うし、彼女の張り裂けそうなあの咳はこの時からまるで変わっていない。母親達は皆似た顔立ちをしている、との事になっているが、正直そこまで似てはいない…。青年が黒いゴミ袋ぶら下げで街を急ぎ足で歩いていくシーン、あれ中身赤ん坊で、って事は最初捨てる気満々だったけど、途中から物乞いに使えるってことでしっかり抱き直したって事だろうか…。とりあえずイネスは出番少なめだけど最強に可愛い。
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