地底獣国

オスロ・ダイアリーの地底獣国のレビュー・感想・評価

オスロ・ダイアリー(2018年製作の映画)
4.0
「敵と交渉する時、すぐには信用すると言えない。だが和平を望むなら信用する努力をするんだ。」

「悪いがあなたとは交渉できない。(奇襲作戦であなたが殺したのは)兄弟同然の友だったから、あなたと交渉するのは正しいことだと思えない。」
「それを繰り返さないために話し合うんだ。」

1993年に始まったPLOとイスラエルとのオスロに於ける交渉とその後の顛末を、交渉にあたった当事者へのインタビュー、彼等が当時記した日誌を中心に振り返るドキュメンタリー。

許し難い敵だと思っていても顔を突き合わせ、相手の背景を知り、本気で交渉するなら僅かずつでも歩み寄る事ができる。

最初のオスロ合意の直後にユダヤ人入植者によるムスリムへの乱射事件、抗議デモに対するイスラエル軍の発砲、それらに対する報復と、いつ瓦解してもおかしくなかった状況で懸命に話し合いを続け、もう少しで和平への道筋ができそうな所までこぎつけた当事者達にはひたすら敬服。

だが、「内なる敵」を抑える事まで手が回らなかったのが痛恨の極み。いろいろと胸糞ドキュメンタリー映画見てきたけど、あまりの悔しさに泣きたくなったのはこれが初めて。遠く離れた異国で記録映像視てるだけの自分がこれなんだから、当事者たちの失意、無念は如何ばかりであったか‼︎

あそこまで希望を持たせておいてどん底に突き落とすような事をする神なんぞマジでgoddamnedやし、そんな神を崇め奉って教義の違う相手は殺して良いとかぬかす狂信者達にもウンザリだし、己のポジションを強固にするためにそういう人間たちを煽って殺戮に向かわせる指導者共は早いところ退場してくれ(これは何も特定の宗教に限った話ではない)‼︎‼︎

以下はオスロ会議が始まった1993年に公開されたとある映画からの引用

「➖不正義の平和だろうと、正義の戦争よりよほどマシだ」
「あんたが正義の戦争を嫌うのは良く分かるよ。嘗てそれを口にした連中に碌な奴はいなかったし、その口車に乗って酷い目に遭った人間のリストで歴史の図書館は一杯だからな」
地底獣国

地底獣国