クロ

水深ゼロメートルからのクロのネタバレレビュー・内容・結末

水深ゼロメートルから(2024年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

『アルプススタンドのはしのほう』を当時観たときは面白いと思ったのだけど、最近は歳を取ったからか少し評価が下がっている。大人の価値観に都合がよすぎる感じがするんだよな。応援させられることに対する反発がもっとあっても良いよなと、青春を俯瞰するようになった今は思う。部活とか応援とか大人の決めたルールに出させられてるだけだからなー。


まあ高校生の観測点が狭すぎるから仕方がないこと…なんて思ってたけど、本作品はなかなか反抗的だったなと思う。男女の問題(高校生なので特に野球部)に対して砂をマウンドにぶっかけて宣戦布告するし、阿波踊りの男躍りをやってみせようとする。先生の配慮に対して、JKなめんなと叫ぶ。先生のルール守れという理屈にも反抗する。大人だけじゃなく思春期に露になっていく男女の問題に対しても反骨精神を見せる。はあー今の高校生はここまで踏み込んで考えてるのか~凄いな…『バービー』が2023年時点のフェミニズムの現在地点を表しているのと同様に、この映画も日本の男女の現在地点が描かれているように思ったな。しかも無意識に、高校の生活の範囲内で、自然に発せられている。

台本を検索するとダウンロード出来たので読んでみたけど、この辺りの話はみんな脚本で描かれていてビックリ。山下監督の脚色もあるかなと思ったけど全然そんなことはないもんな。まあ山下監督なりにかなり上手い演出だらけでいい映画になってると思うけどね。

まあでも、アルプススタンドのはしのほう同様、どうしても狭い話にしかならないのでね…『桐島、部活辞めるってよ』で映画部の顧問が「半径1mの話を撮れ」というのに対して映画の中の神木くん等は反抗するかのようにゾンビ映画を撮るけど、演劇と言う性質もあるからか映画的な感動は今一つかな。でも面白かったな。これも三年後には評価が変わるのかな~高校生なんだからもっと青春しろ!って批判するやなおじさんになってたりして…笑
クロ

クロ