皆さんは、『アルプススタンドのはしの方』という映画を覚えているだろうか?
何を隠そう『アルプススタンドのはしの方』は、2020年の私のベスト邦画なのだ。
その『アルはし』に続く、「【高校演劇リブートプロジェクト第2弾】として、2019年に開催された四国地区高等学校演劇研究大会で「文部科学大臣賞(最優秀賞)」を受賞」した作品となれば観ないわけにはいかない。
舞台化に続き、原作の中田夢花さんが脚本脚色を務めたという。
『水深ゼロメートルから』(以下『水ゼロ』)は、9割方が水のないプールで話が展開される。
いかにも演劇らしい動かない舞台だ。
その中で繰り広げられる女子高生たちの会話劇。
たわいのない会話の中に彼女たちの悩みや考えが吐露される。
そのやりとりが何気なくも秀逸なのだ。
徳島の阿波踊り、部活、恋愛、学校のルール、女の子であることなど。
たわいがないと言えばそれまでだが、なかなかに真実を突いていたりする。
水深ゼロメートルのプールの底。
グラウンドから舞ってきた砂の海で溺れかけている自分を、大丈夫だけど気づいてと言わんばかりに。
何が解決するわけでもない。
彼女たちの日常はきっと続いていく。
しかし、確実に夏休みは終わり、彼女たちは大人になっていくのだ。
余談
山本役のさとうほなみ
教師や大人の論理を代表する人物として共感できました。
大人だっていろいろ言いたいことあるよね。
「お前らぐちゃぐちゃヌカすんじゃねえ!」って。
(以下『水ゼロ』)と書きながら一度も使わなかったわたし。
『アルはし』って使ってたのに。