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トラペジウムのtkのネタバレレビュー・内容・結末

トラペジウム(2024年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

アイドルが描くアイドルとはいかに。
乃木坂については初期メンくらいしか知らない自分...。
その元中心メンバーの原作とあらば、期待は否が応にも高まるというもの。
原作未読なため、どれほど忠実に描かれているのかは分からない。
ただ、アイドルになりたくて切磋琢磨する世界では、成り行きとはいえ、なるべくしての空中分解。
本気の人間ばかりの中では、そりゃ生き残れないよな。
棚ぼたで華やかな経験ができて良いじゃんとも思える反面、巻き込まれて可哀想でもある3人。
我の強い、上昇志向つよつよ主人公は嫌いではない。
ただ、アイドルグループ結成の為に仲間をリクルートしたことを白状するシーンさえあれば、その後の亀裂も、もっと心に響いた気がする。
最後までそれを言わなかったからモヤモヤが募った。
そこまでエゴが強いなら、もっと根底にアイドルになった先にやりたいことがあるはずだし、その描き込みが浅い。
自我の強さの反対側には、可愛げの部分ももっとあるはずだし、そこを観たい。
個人的には泣きながら飯を頬張るシーンは欲しかった。
惜しいとこまで行ってたけど、もう一歩。
ラストも4人が再開せず別れたきり、それぞれの道を歩むだけの方がより切なさが募って印象的になっただろうに。
そこにトラペジウムの写真がくる。
その方がよりリアルだしエモい気がする。
高山一実が上梓したというネームバリューに期待があったが、意外なほど深みが感じられぬ内容に肩透かしを食らった。
一体何を描きたかったのか?
アイドルオタクが書いた創作小説の方が、もっとディープな世界を描けるのではないだろうかとさえ思う。
劇中同様、元アイドル特権で小説を出版できたのかな?なんて変なことも考えてしまう始末。
アイドルの虚実入り乱れる喧騒の日々とまでは行かなくとも、ファンの目線とか、事務所スタッフの目線とか。
そんな多面的な描写を入れるだけでも、もっと味わいが出た気がする。
元アイドルとはいえ、作家としてプロの勝負をしに来たのなら、厳しい評価を付けざるを得ない。
決して高山さんが嫌いな訳ではないし、むしろ応援したい。
これに懲りず、今後の円熟した作品に期待したいところ。
しかし高山一実と西野七瀬が演じたお爺は演出意図が分からな過ぎて意味不明。
普通に女性キャラでいいじゃん。
明らかに違和感があって浮いてた。
アイドル群雄割拠と言われた時代と比べると若干下火な感も否めない昨今。
目指すのは、Vtuverなんかに改変したり。
そんな現代的なアプローチがあっても良かったと思う。
特に推しのVの引退表明を見た、今日の自分には刺さり過ぎる話になってた訳で。
そんなファンやVの子たちのひきこもごもを描いた話のほうが響く人間は多いと思う。
黒背景に白文字の「お知らせ」とか、ドキッとするし。
ちなみに“トラペジウム”とは「オリオン大星雲中心部の星生成領域にある散開星団」のことらしい。
あるいは「どの二つの辺も平行でない四角形」だとか。
ラテン語で台形を意味するんだと。
作中、オリオン座の描写とか星の話は出てたきたけど、詳しくは言及されず。
せめてそれを説明してくれてたら、まだ納得いくタイトル回収でよかったのにな。
最高に昂ぶる、「なんもない」は言うまでもなく至高の一曲。
この序盤をピークに、イマイチ起伏に欠けるストーリー。
この曲が最高にカッコイイだけに非常に残念。
まぁ一つ確実に言えるのは。
「推しは推せる時に推せ!!」
これに限る!!(血涙)
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