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ジョン・レノン 失われた週末のvioletのレビュー・感想・評価

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すごく見応えのあるドキュメンタリーでした。当時の映像のクリップが限られる中、写真と語りで上手く繋ぎ合わされた、疾走感のある編集が素晴らしかった。ずーっと見どころって感じで1時間半釘付けになった。


メイパン視点での「失われた週末」は、ジョンを愛しジョンに愛された数年間だったんだね。"最終的にジョンはヨーコを選んだ"という事実によって、ジョンとメイとの恋愛関係は蔑ろにされがちだったけど、これによってやっと彼女の名誉が保たれたというか… 「私はジョンに愛されていた」ってことを、自分が死ぬ前にどうにかして世界に知ってほしかったんだろうなと思う。

すべて真実だとは限らないけど、ジョンの書いた絵やメイへのメッセージ、互いが撮りあった写真を見ると、確かに2人は愛し合っていたと確信せざるを得ない。


なんだかメイの印象がガラッと変わった。変わったというか、今まで大して気にしてなかったから、形作られたという方が近いかも。マイノリティーであるということをもろともせず、勇敢に夢を叶える姿には憧れたし、話し方や姿勢がとっても自信に満ち溢れてて、チャーミングな笑顔が印象的な女性だった。

ジョンとシンシアの和解を助けたり、ジョンとジュリアンを再び繋ぎ合わせたり… これはジョンがヨーコから離れてメイと居たからこそできたこと。メイの存在はシンシア&ジュリアンにとって本当に大きかったんだなあ。

ロストウィーケンドのジョンはすごく社交的になっているし、なにより元気そう。ジョン、ポール、スティービーワンダー、マルエヴァンスが集まってセッションしてたなんて知らなかった… 平和すぎるよ!

これだけだとヨーコが最悪のmanipulatorにしか見えない(笑)エキセントリックでヤバい人なのは間違いないけどさ… 別にあんなあからさまにヨーコを悪者に仕立てあげなくたって、メイの魅力や功績は十分に伝わってたし、みんな彼女には同情するのに… ヨーコのネガキャン強めに演出してるの勿体ないなって思っちゃった……

湯川れい子さんが本作の評論として「人は同時に二人の人間を心から愛すると言う事もあるのかもしれない」という言葉を残していて、「は?」って感じだったけど鑑賞後の今なら分かる。確かにこれを観ればそういう結論に至ってしまう。
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