ビンさん

クラメルカガリのビンさんのレビュー・感想・評価

クラメルカガリ(2024年製作の映画)
2.5
シネ・リーブル梅田(現:テアトル梅田)で本編始まる前に流れるエチケットムービーで、随分前から流れていたのが、『クラユカバ』というアニメーション作品とのコラボ。
目に耳にタコができるくらいに観ていた映像ゆえ、ある種の洗脳(笑)のような状態だったのだが、とりわけレトロちっくな感じのそのアニメには少なからず惹かれていたのだった。
というのも、もともとレトロ趣味でもあり、特に戦前の帝都東京を題材としたエンターテインメントはたまらなく好きなもので。

で、その『クラユカバ』と『クラメルカガリ』という世界観を同じとする2作品(共に1時間程度の上映時間)が同時公開され、シネ・リーブル梅田へ観に行こうと思っていたところ、ありがたくも地元のユナイテッドシネマ橿原でも上映されたので、2作品共に楽しみに観に行った。

タイムスケジュールの都合で、『クラメルカガリ』→『クラユカバ』の鑑賞順になったが、特に順番については決まりは無いようで。

で、『クラメルカガリ』だが、舞台は架空の炭鉱の町箱庭。
ここで突然地面が陥没する事件が起こる。
町に住むヒロイン、カガリは地図製作を生業としている。
彼女は同じく地図製作者のユウヤと共に事件の真相を探る、という話。

とにかく作り込まれたプロダクション・デザインが圧巻。
一応、架空の町ではあるが看板等々は戦前の帝都東京である。
しかも、小唄勝太郎の楽曲なんて流れてくるので、これはもう・・・。

あと、少年少女のジュヴナイルものかと思いきや、物語は戦争活劇へとシフトしていく。
登場する戦車等々はスチームパンク。
これが後半、派手にドンパチやらかすという流れ。

アニメに疎い僕は、これを監督した塚原重義なる人物についてまったく知らなかったのだが、パンフ等で経歴を見れば当然レトロ趣味なようだ。
なので先のエチケットムービーを観れば、ああ、これって好きな奴やん、というフィーリングが合ったような気がしたのだが、やたら登場するスチームパンクなメカによるドンパチが、どうも僕の好みからドンドン離れて行ってしまうのだ。

ああ、この塚原監督はレトロ趣味ではあるけれど、やりたいのはアクションなんだな、と思った途端にサァーっとフィーリングが薄れていってしまったのだ。

なんでも、塚原監督は海野十三の作品が好きだということだが、登場するキャラも雑多であり、○○屋、などど屋号で相手を呼ぶところなどは、海野十三というよりも、久生十蘭の「魔都」を想起させる。
おそらく監督はこのあたりにも造詣があるものと思う。

エンディングに流れる主題歌も、アーティストはよくわからないが、「お祭りマンボ」みたいな曲調で、やっぱり「それらしい」テイスト。

とはいえ、先にも書いたように、観ている間に本作への興味は、どんどん薄れていってしまったのだった。

レトロ調&スチームパンクは、それ自体新鮮に見える素材であり、好きな向きにはたまらないんだろうけどね。
ビンさん

ビンさん