店長

名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)の店長のレビュー・感想・評価

4.0
かなり厳しいが、ハロウィンの花嫁、黒鉄のサブマリン並みに面白いは思えなかった。暗黒期のコナン映画すら彷彿とさせるレベル。

今までのコナン映画からも何故面白いのか、という要素を感じ取ることが出来るので考えてみる。
怪盗キッドが前面に出ているシーンが多すぎるのも面白いとは思えなかった。世紀末の魔術師、探偵達の鎮魂歌のように、実はキッドだったみたいな立ち回りこそ彼の奇抜性・トリック性を魅力的に受け取る演出アプローチだったのではないかと感じた。
事実、作中で「え、この人なの!?」みたいな演出は自分の心に驚きと感動を与えた。良い演出なのだと再認識した。

話の本筋自体がかなり陳腐で、6本の刀、そして兵器を集める、阻止する(破壊する)という勢力が争いある。
地味なゴールデンカムイのような印象を受けた。業火の向日葵のような、怪盗キッドがクールな建前があるわけでもなく、動機自体も魅力的に映らなかった。

ただ、怪盗キッドを使ってやりたい演出は行えていたかのように思える。(伏せておくと病院のシーン)
これに関しては好感度も上がり、安易かもしれないが、ファンからすると嬉しい組み合わせであり、胸が熱くなった。

一方、コナンの行動や心理について解釈不一致になるシーンも多かった。
まず、実銃・刀を持ち歩いているグループが集まると予見出来る場所にトリック解説で少年探偵団を連れ込んでいるのがかなり違和感を覚えた。

危ない場に子供達をあえて連れてくる、そういう人ではないと思うので、明らかにキャラクターの思想や行動と反している。
また、最後の事故パニック系トラブルに関しても、コナンは蘭をも巻き込むトラブルに発展することが理解できても、特に焦るような、取り乱すような事はしていない。
絶海の探偵や、純黒の悪夢などの絶対無理だろみたいな状況でもひたすらに蘭を思い、奔走するみたいな主人公の姿は無かった。「委ねた」という解釈を押し付けられていると思うのだが、それでも主人公がアシストするなどの演出はいくらでも出来たと思うので、ここは胸が熱くなる展開とは思えなかった。

悪側の人間があまりのも反社的勢力過ぎて、別の作品に近い。
黒の組織は結構無茶苦茶やっている印象があるのだが、ジンは空自(正確ではなければすみません)が来るからと漆黒の追跡者(純黒..?)ではズラかっている。意外と現実的なラインでの逃走を選択しているのである。

しかし今作は武器商人ということもあり、明らかに市街地で構成員(車10台以上)全員が刀と実銃を容赦なく使う。

検挙って知っていますか・・・
類似の例として、迷宮の十字路が思い浮かぶがあれは本拠地に出向いた結果、門下生が最終局面だから人斬りすら覚悟して参戦したようにも思える。

明らかにコナンの世界観とは言い難い。殺人1件1件にフォーカスしている探偵漫画とは明らかに対極に居るような、安易な武器商人設定だった。
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