ぺっこりーの

映画 ○月○日、区長になる女。のぺっこりーののレビュー・感想・評価

4.5
#2024年映画館鑑賞映画 20本目

ポレポレ東中野。

予告を観た時点で絶対観たいと思っていた映画でした。朝早い回がこの日で終わりかつ月初めのサービスデーだったので、この日しかない!と狙い撃ちして座席を予約☺️

予約時は何も告知されてなかったと記憶してるのですが、いざ当日現地に行くと、なぜかその日は監督さんの舞台挨拶&サイン会開催日となっていたのでびっくりしました笑

せっかくの機会なので購入したパンフのサイン会に並びサインしてもらいつつ、ちょっとだけ監督さんとお話出来ました😊

本編主要シーンのひとつである南阿佐ヶ谷駅は以前在籍していた職場があった場所で、しかもこの映画を観て初めて中杉通りを五日市街道まで直結させるという驚きの再開発計画があったことを知りました…そして以前いた職場の建物はまさに中杉通りの再開発で道路にされてしまう計画のど真ん中に位置していたので、余計衝撃を受けました…。

紆余曲折あり、岸本さんも割とドタバタな感じで彼女を担いで支援していた方々ともなかなか思うように一枚岩になれない感じがスリリングで、区政を変えて欲しい気持ちが強いのは物凄く分かるのですが、あまりに気持ちが強過ぎるゆえに岸本さんに言いたい放題意見(というか苦言)をぶつけるご婦人の方々を観ていて若干モヤったり笑、そのあたりを百も承知であえて客観的であろうと努めるスタンスに感じた監督さんも、つい岸本さんに意見してしまったシーンもカットせずにそのまま映像にしているところに監督の誠意を感じて好感を持ったり、そうした生々しいシーンもありのままに見せる事で権威側じゃない市井の人々が選挙に挑む事の大変さや難しさも包み隠さず映し出していて、声を上げる事、行動する事の困難さも目の当たりにしました。

でも、どんな事であれ行動を起こす事に大小はあれど困難さが無いわけないですし、それをどうにか乗り越えて権威をひっくり返し、ついに区長になるその瞬間はとてもエモーショナルでしたし、希望を感じる瞬間でした。

ただ、たったひとり区長が変わったところで、劇中でも岸本さんが仰ってましたが、これはほんのスタートに過ぎず、区議会には依然として区民側を殆ど見ていない権力側の勢力が多数を占めている状況に暗澹たる気持ちにさせられるのですが、それを受けて先の選挙運動で岸本さんを区長にするべく奮闘していた女性活動家の方達が次々と岸本さんを支えるべく区議会議員に当選し、女性区議の数がドカンと増えた終盤のシーンは、岸本さんが区長に当確したシーンよりもエモーショナルで、胸に熱いものが込み上げる思いでした。

国レベルでは依然として裏金議員がひとつも罰せられず、のうのうと悪政を続けていられるような、暗澹たる状況が続いてしまっている2024年ですが…僕ら一人ひとりは小さな市井の人であっても、そして目の前の道が困難な道であっても、小さなことでも良いから何かしらアクションを起こし続けて行くこと、そしてそれを諦めずに継続していくことで、この国を少しでも良い方向に変えることは決して不可能では無い、もいうことを改めて教えてくれる、とても素敵な映画でした。