ラピュタん

ノスタルジア 4K修復版のラピュタんのレビュー・感想・評価

ノスタルジア 4K修復版(1983年製作の映画)
5.0
リマスターが出来たら、いつかきっと劇場で観賞したいと願い静かにとっておいた名作

ついに観ることができて感無量です🤍

犬🐕映画でもありました


冒頭
霧が立ちこめる美しい景色に女と子どもがふたり
そして犬🐕
画面の奥には白馬が佇む

…一度観たら、一生涯忘れ得ない白黒のシーンで始まります

寺院
心込めて祈れば、きっと願いが叶う…という
祈る人が触れたその聖母の胸からは、小鳥が無数に飛び立つ
青空ではなく、寺院の中に…

主人公(タルコフスキー自身)は、そこに足を踏み入れようとしなかった、願いが叶うというのに…

温泉♨️
白濁した硫黄泉のプールには数人が優雅に湯につかっている
生命を永らえさせんとして浸かる
だが主人公は、そこにも入らない

そこで見知らぬ不思議な人物と出会うのだが、その初老の男はそこで聖エカテリーナを口にする

人によれば、その男は家族を幽閉して(一緒に)家に七年間もこもったままだったという

狂人なのか

主人公は、その男の話を聴く

そして託されるのであった
一本の蝋燭🕯️を持って、温泉を渡ることを
その行為が世界の救済💡なのだと告げられ、タルコフスキー(主人公に投影)は疑ったり迷うこともなく、見知らぬ男の願いを引き受ける…

映像史上最高の水の詩人は
どこか自身を投影させながら
命を水に託し、火のリレーを信じる


時々差し込まれる白黒の回想
祖国と別離した家族を想うノスタルジーが、彼をどう生かすのか?
それが詩情豊かに思索的に描かれているのも、この映画の魅力のひとつだと感じました

冒頭と最後のシーンを、あなたにも目撃してほしい
(もちろん、全編が美しい🪷)
それらだけでも、誰しも雷に打たれたときのように(←あくまで想像の)、心が射抜かれるされるはずです💘
そして、震える。。。🫨。。。

     
       🌲

     必見でしょう


⭐️本作は、母親(の思い出)に捧げられています
⭐️監督はソ連に戻ることなく、54歳で亡くなっています
⭐️遺作は「サクリファイス」です🌲
 学生時代に満員の劇場で観賞…
 よく分からなかった記憶のみ☺️



以下、ネタバレ?かもしれません






水の描写とその音に耳を澄ませれば読み解ける気がしました💦



霧は、彼の想い
冒頭のシーンから、すでに霧が立ちこめています
その霧は彼の祖国ソ連にいる家族を覆います

シェパード🐕
とっても可愛いし、気高い
彼の側にも、狂人の側にもいます
つまり…きっと、初老の狂人は彼の分身(鏡に映るシーンも)
未来の彼の姿

数式
廃墟の壁に描かれた
1+1=1
父と母から産まれた、自分 🦆

少女
水で満たされた廃墟(寺院)に佇みながら、父親の詩集を燃やす
そこで出会った少女アンドレア
アンドレアは、、、アンドレイの女性名では?
すると別の人生を象徴するのかもしれませんね
それとも、愛する人の名なのかな

一本の蝋燭
🕯️は、願いそのもの
冒頭の寺院でもたくさん出てきます
あるいは、小さな命と捉えてもいいのかもしれません

最後の試練
心臓を病んだ主人公が挑みます
水は命の象徴でしょう?
彼が歩く場所にはすでに水はほとんどありませんでした
🕯️の火は、渇いた温泉プールを渡されてゆきます
そこで、主人公は息絶える💦

残されたのは、ひと筋の小さな光…


ラスト
最後のシーンの光景は!
あまりに切なくも美しい❄️

そこで、待っています

誰を?

   あなたを


何が?


       永遠の美が
ラピュタん

ラピュタん