てっぺい

コンテイジョンのてっぺいのレビュー・感想・評価

コンテイジョン(2011年製作の映画)
4.0
【恐怖が感染する映画】
まるで今のコロナウイルスの状況をそのまま映画にしたような2011年の作品。今の状況と合致しまくる不気味さと、その先に描かれる暴動や略奪に、もう映画の恐怖ではなく身近に起こりうるリアルな恐怖に変わる。今見るべき一本。
◆概要
監督:「オーシャンズ11」スティーブン・ソダーバーグ
出演:「マリアンヌ」マリオン・コティヤール、「オーシャンズ11」マット・デイモン、「キング・アーサー」ジュード・ロウ、「タイタニック」ケイト・ウィンスレット
◆ストーリー
接触感染により数日で命を落とすという強力な新種ウイルスが香港で発生。感染は瞬く間に世界中に拡大していく。見えないウイルスの脅威に人々はパニックに襲われ、その恐怖の中で生き残るための道を探っていく。
◆感想
全く今起こっている現象と同じ。手洗いやソーシャルディスタンス、もう聞き飽きたフレーズが2011年の映画から次々と登場する不気味さに鳥肌が立つ。暴動や略奪、カオスな世界の描写は、もはや今の時代のその先を予言しているよう。

◆以下ネタバレ

◆予見
まず何よりも、9年も前の作品が、今の日本や世界のご時世を予見しているような、当時の想像の世界と現在のリアルが合致する不気味さ。“人は1日2000〜3000回顔を触る”のコメントとか、コウモリが病原体を運んでいたり、感染者の発出が中国からだったなど、もう今の状況に完全一致。その鳥肌が立つほどの不気味さも今作を今見る醍醐味。
◆キャッチフレーズ
”恐怖はウイルスより早く感染する”というこの映画のキャッチフレーズ。レンギョウという偽の特効薬が出回る描写や、それを目掛けて起きる暴動、略奪、そして政府による隔離。自分達がこの先迎えるかも知れない未来が描かれているようで、気が気ではなくなる。それほど練られた脚本だったし、まさにキャッチフレーズの通り、身近に起こりうる、感染する事とまた別の恐怖が描かれた、人間の真理をつくリアルスリラーとでも言うべき映画だった。
◆映画表現
亡き妻の写真を見ながら、ミッチ(マッド・デイモン)が涙するラスト。妻が感染のスタートであり、パニックとなっていく世界。その異常な世界で、妻の死に涙ひとつ流せなかったミッチ。彼が涙を流したのは、そんな異常な世界がやっと元に戻った事をミッチの精神状態を通じて描いた、本作の一つの映画表現だったように思った。

多分コロナウイルスの発生前に見ていたら、恐怖の感じ方が全然違っただろう本作。映画は時代を映す鏡とも言われるけど、別の意味で、本作は今の時代を逆に映し出す鏡のような、不思議で不気味なリアルさのある映画だった。やっぱり映画は面白い。
◆トリビア
マット・デイモン、ケイト・ウィンスレット、ローレンス・フィッシュバーンら本作の出演者が、コロンビア大学が制作する新型コロナウイルスに関する解説動画に出演した。(https://eiga.com/news/20200401/7/)

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