タカヒロ

陰陽師0のタカヒロのレビュー・感想・評価

陰陽師0(2024年製作の映画)
3.0
原作、野村萬斎版共にファンの身としては予想していたより堅実な造りだなぁという印象。
予告の雰囲気からケレン味たっぷりで派手派手な、原作とは別物くらいのファンタジーを予想していたら意外と地味で真面目に造ってる作品だった。

只、現実的でリアルに時代考証した部分と映画的なファンタジーの部分と結局どっちに着地させたいのかが最後まで中途半端だったのが作品のノイズになっていた。

早い話が、ハリーポッターをやりたいのか、東野圭吾のガリレオをやりたいのかどっちですかという事である。

冒頭でお客に「ここからは現代語で〜」なんて語りかけてくるから、「あぁ、この作品はあくまで漫画的な何でもありなファンタジーを楽しむものなのかな」と思ってそれはそれでワクワク観ていたら、事あるごとに、「呪術や魔法の様なものは存在しない、全て現実的事象に基づく手品とかメンタリズムみたいなもんです」的な説明が語られる。

魔法みたいなものが当たり前に存在してる世界観なのか、魔法みたいなもののトリックを現実的に解き明かしていく話なのか、ここはどっちかに絞って進めてくれてたらもっと話に入り込めてた様な気がする。

昨今の大作邦画特有の続編ありきな造りに比べると、一本でしっかり娯楽作としてまとめている点は凄く好印象。
その弊害なのか1作で世界観、キャラクター、呪術の説明、恋愛、ミステリー、アクション等など全部ぶち込んだ結果全部が中途半端で何が観せたいのか散漫になっていたのは逆に凄く残念。

古典的作品を大きく現代風に再解釈して造り直すという点、ブロマンスやアクションミステリー仕立てという点でガイ・リッチー版のシャーロック・ホームズっぽいなと感じた
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