お初のワン・ビン監督。『Youth (Spring)』
上海を中心に長江の下流一帯に広がる長江デルタ地域の、子供服産業の一大拠点で知られる浙江省 湖州市 織里鎮の小さな工場で働く、10代後半から30代前半の出稼ぎ労働者たちの職場と日常生活を捉えたドキュメンタリー。
主に2014年〜2016年の3年間、監督が現地に暮らし、彼らが働く、個人経営の複数の小さな工場や生活の場に通い、朝10時から夜11時までカメラを回したということで、彼らの日常のありのままが捉えられています。
現在はどんな状況なのか分かりませんが、劣悪で不衛生な環境。ゴミは投げ捨てる、瓜子(クアズ)の殻はペッペッ吐き出す...寮の相部屋や共有の通路などはゴミが散乱。
更に驚くのが、男性はほぼ全員、ミシン作業しながらタバコを吸ってます。生地に穴があいたり、火事になる可能性も高いのに。。
この環境で長時間ミシン作業をこなし、低賃金で搾取され続けている日々なわけですが、彼らに辞めるという選択肢はなく、この日々を、ダベり、歌い、ふざけ、イチャつき、ブチ切れて喧嘩し、恋の悩みを抱え、苦戦しながら賃金交渉も粘り強くやっている。彼らにとってはこれが青春なわけですよね。
日本の甘酸っぱい"アオハル"的なものではないですが、何組か出てくるカップルの会話ややり取りが面白い。
イチャってたあの二人は、空気が悪くなった後、どうなったのかな・・・
どれだけ見習い/トレーニング期間を経ているのか分かりませんが、1点ごとの歩合なのでとにかく大量にこなさねばならないので、みんな作業スピードが激速。
彼らが作っているものに、日本で売られている子供服もあるんだろうな・・・と、複雑な心境になりますね。
