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麥秋 4Kデジタル修復版のぉゅのレビュー・感想・評価

麥秋 4Kデジタル修復版(1951年製作の映画)
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2024年 鑑賞 24-04-0 [1-4]
BS松竹東急 銀座よる8シネマ にて
「晩春」「東京物語」等の小津安二郎監督による、「紀子三部作」(原節子さんが “紀子” という名の役/同一人物ではない)の2作目で、北鎌倉で暮らす間宮家では、適齢期を過ぎた独身の娘紀子(原節子さん)に縁談話が立て続けに舞い込む作品。ちなみにタイトルの「麦秋」とは、麦の収穫期で季節的には初夏に当たる時期を指す。
スコアはつけられないと感じたため遠慮させていただきます。

ー 小津安二郎監督生誕120周年記念映画祭 第1弾 モテ期の秋編 ー
モノクロ作品。昭和の家族団らん風景 主人公と兄家族4人と両親(祖父母)の間宮家7人が一つ屋根の下 今とは違うなぁ、小津監督の作品はよく家で鳥を飼っているイメージ、28歳独身の紀子と売れ残り(やっぱり今とは違う 28で売れ残りなら私は賞味期限ギリギリ or 切れている?)、基本的に役者や漢字は違えど名前が同じ読み方、紀子の兄康一(笠智衆さん)&彼の妻史子(三宅邦子)との飲み会とエチケット、鎌倉の大仏、百葉箱 懐かしいぃ、女子会と既婚者 vs 未婚者の討論会、専務からの縁談に乗り気?な紀子、戦争で亡くなったとされる間宮家の次男省二の話と鯉のぼり これが「もう帰って来ないだろう」という切なさややるせなさを感じさせる風景なのかも... 、紀子へのある電話と瓶ジュース これも切なさを感じた... 、康一の同僚の医師の矢部謙吉(二本柳寛さん)の来訪といいお話あったんでしょ?の言い合いとケーキの隠し方(あのメロン騒動はここをオマージュ?)、お見合い相手は数えで42(満40)歳と紀子の歳では贅沢を言えない?、何を言ってるんだ?今ならパワハラやモラハラってなるとまさしく “男尊女卑の時代” 、康一の息子たちからの抵抗と紀子の言葉、子どもたちの失踪と子どもたち探しに謙吉も合流、謙吉の決意と秋田の病院へ転任、オードリー・ヘプバーンのブロマイド、紀子は矢部家へ別れの挨拶へと謙吉の母たみ(杉村春子さん)のおしゃべりと紀子の言葉、間宮家での驚きと紀子の決断と案外近過ぎて気が付かなかった感情、今度は紀子が既婚者発言?と「それが “好き” ってことなのよ」、紀子の帰宅と台所でひとりでお茶漬け、子連れの再婚は可哀想?と紀子は私のような男性は信用ならないらしい... 、家族写真と紀子の両親だけの夫婦写真、「別れ別れになるけど またいつか一緒になる いつまでもみんなでこうしていられりゃあいいんだけど そうもいかんしね」と紀子の両親も大和で隠居生活に...

昭和という時代の良さ悪さ 両方がよく出ていた作品だった。自分の感情だけの男尊女卑的パワ&モラハラ発言は絶対してはいけないし、結婚観の違いや紀子の決断も良かった(未婚は決して悪いことではない!)。そして核家族へ移って行く頃の時代を体験した気分になった。

余談:眼鏡かけて眼鏡を探したことは私もよくします。若くてもよくします。

「立派な相手ならいいじゃありませんか? こっちだってそう贅沢言える年齢じゃないんだ」

「ご機嫌悪いのね ダメよ 兄さん! 自分の感情だけで叱るから可哀想よ」

「あんたのような方に謙吉のお嫁さんになっていただけたらどんなにいいだろうなんて そんなこと思ったりしてね」「本当にそう思ってらした? 私のこと 私みたいな売れ残りでいい?」「えっ?」「私で良かったら」「本当?」「ええ」「まあ嬉しい! 良かった良かった!」

「いつかまたいつか会えるさ」

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