JTKの映画メモ

晩春 4Kデジタル修復版のJTKの映画メモのレビュー・感想・評価

晩春 4Kデジタル修復版(1949年製作の映画)
4.5
久しぶりの再鑑賞。
前に観たのはいつか忘れたが、2度目で気付いたことがある。
以前はこの作品を、"婚期を逃した娘を嫁にやる父親の悲哀"を描いたものとして観てたが、わしも少し大人になったのか今回は全然様相が違った。
なんかヴィスコンティ並みに背徳感あるんだこれが。
紀子は父親をまるで恋人のように想っている。
父親が結婚すると嘘をついた時の紀子の表情が物語る。
紀子が原節子である必然がそこにある。
また友人のあやちゃんの存在も父親との背徳を匂わす。
劇中の能舞台が何かの暗喩である可能性はあるが、そこまで教養がないからわからない。

いやあ、改めて小津最高。

やはり、ここんとこずっとレビューで書いとるが、小津安二郎は"日本的で普遍的な家族の情愛"などを描いてないんだな。
叙情的な音楽で騙されそうになるが、描いてるのは小津が憧憬とともに畏れ忌み嫌った"家族の崩壊と闇"。

しかし、4K修復版恐るべし。先日観た「戸田家の兄妹」とは映像も音声も雲泥の差。

あと、「長屋紳士録」の青木放屁くん出とった。(嬉)